細菌による主な疾患と毒性について

細菌による主な疾患と毒性について

1)感染型と毒素型が存在

細菌が起こす食中毒には、感染型と毒素型の2種類が存在します。

(1)感染型

細菌に感染した食品を摂取し、体内で増殖した細菌が病原性を持つことで起こる食中毒です。
代表的な原因菌としてサルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などがあります。

細菌を食べることが問題ですので、加熱・環境消毒・手洗いを行って食品へ細菌を付着させないことが重要です。

(2)毒素型

食品内で細菌が産生した毒素を摂取することで起こる食中毒です。
代表的な原因菌として黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがあります。

毒素を食べることが問題ですので、加熱殺菌・低温保存等により食物上での繁殖を防ぐことが重要です。

2)細菌による主な疾患

腸管毒

コレラ、O157、黄色ブドウ球菌、細菌性食中毒など

神経毒

破傷風、ボツリヌス症など

溶血毒

化膿性炎症など

スーパー抗原活性を持つ毒素

猩紅熱(ショウコウネツ)、毒素性ショック症候群など

3)感染局所から全員に広がって作用する毒素性疾患

ジフテリア菌

毒素名 :ジフテリア毒素
症状例 :心肝腎の多臓器不全
増殖箇所:鼻咽頭粘膜の細胞間隙

百日咳菌

毒素名 :百日咳毒素、気道細胞毒素
症状例 :長期間の痙攣性咳発作
増殖箇所:気道粘膜細胞の表面

破傷風菌

毒素名 :テタノスパスミン、テタヌストキシン
症状例 :痙攣性麻痺、筋痙攣
増殖箇所:足などの外傷

4)重大な食中毒事件を引き起こす代表的な細菌

黄色ブドウ球菌

毒素名 :エンテロトキシン、耐熱性腸管毒
症状例 :食中毒(嘔吐、下痢、腹痛等)
主な事件:雪印乳業(2001年6月)

腸管出血性大腸菌(O157)

毒素名 :ベロ毒素
症状例 :腸管出血
主な事件:大阪府堺市(1996年7月)、焼肉酒家えびす(2011年4月)

セレウス菌

毒素名 :セレウス菌毒素
症状例 :食中毒(嘔吐、下痢、腹痛等)
主な事件:自治医科大学指定の洗濯業者(2006年4~8月)

ウェルシュ菌(ガス壊疽菌)

毒素名 :エンテロトキシン
症状例 :食中毒(下痢、腹痛等)
主な事件:別名給食病として全国で症例あり

ボツリヌス菌

毒素名 :ボツリヌス毒素
症状例 :神経麻痺、呼吸麻痺
主な事件:熊本「辛子レンコン事件」(1984年)

出典:一般社団法人医療福祉検定協会 「医療環境管理士公式テキスト&問題集」より一部抜粋

5)毒素の比較

体重1Kgに対する致死量の比較です。

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