真菌症 Mycosis
アスペルギルス症(Aspergillosis)
カンジダ症(Candidiasis, thrush)

病原体について

真菌症とは真菌がヒトや動物の体の障壁を越えて定着することに起因する感染症です。
代表的な真菌症として白癬菌による白癬(水虫、たむし、しらくも)やカンジダによるカンジダ症、クリプトコックスによるクリプトコックス症、アスペルギルスによるアスペルギルス症などが知られています。

アスペルギルス症


アスペルギルス症とはアスペルギルス属の真菌を原因とする種々の真菌症疾病の総称で胞子の吸入と体内での増殖が原因の日和見感染症です。

アスペルギルス属の胞子は環境中に広く存在することから、ほとんどのヒトが毎日吸入しており、免疫に障害のあるヒトや家畜ではアスペルギルス症に進行する事がある。一般的な原因菌はアスペルギルス・フミガタスです。発症には、原因菌により生産されるマイコトキシンの一種のグリオトキシンが関与していると考えられています。

原因菌は病院内では観葉植物(鉢内の堆肥や土)、生花やドライフラワーの表面、花瓶の水、エアコンまたはヒーターの吹出し口、浮遊粉塵などから高頻度で検出されます。特に、病院改築や改装の際、院内の空気中に増加することが報告されていますが、この事は医療関係者の間でも周知されていない現状があるため、免疫力が落ちている者への予防が大切です。

最も一般的な型はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アスペルギルス腫、侵襲性アスペルギルス症です。免疫力が低下している際に起こりやすいことから症状の進行は速く、全身に感染するため症状は多岐に渡る。治療が遅れた場合の致死性は高いです。

特徴

  1. 呼吸器系への感染では、血性痰、喘息、肺炎、副鼻腔炎など。
  2. 血管内に進入した場合、口蓋または歯肉の潰瘍化、血栓や出血性壊死など。
  3. 皮膚感染は手術創に発生することが殆どで、急速な組織壊死を起こします。
  4. 中枢神経系感染は脳膿瘍を呈し、全身播種性感染の部分症です。副鼻腔からの直接感染は少ない。

カンジダ症


カンジダ症とはいくつかのカンジダ属菌を原因とする真菌症の一つです。
イースト感染症と呼ばれる感染症は厳密にはカンジダ症、モニリア症に分類されます。

カンジダ症の定義には口腔カンジダ症や性器カンジダ症のような表在性のものから全身性の致命的となり得るものまで含まれます。後期のカンジダ症はカンジダ敗血症と呼ばれるが、これは一般的に悪性腫瘍、移植、後天性免疫不全症候群(エイズ)の患者のような免疫抑制状態の患者に限定して認められます。

カンジダを原因とする皮膚や粘膜の表在性感染症では局部の炎症や不快症状が一般的ですが、日和見病原体であるカンジダ属菌にはっきりと起因するカンジダ症の症状は種々であり、経過も異なることが多いです。

カンジダ症は、ビタミン欠乏症による免疫力の低下が主因で引き起こされ、悪玉菌増加による日和見感染です。カンジダ菌そのものは、元来はヒトの体表や消化管、それに女性の膣粘膜に普通に生息するもので、多くの場合は特に何の影響も与えません。また味噌やワインの発酵などにも関与しています。

主な治療法は、ビタミン剤と乳酸菌整腸薬の内服と抗真菌薬の外用が効果的です。

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