レジオネラ Legionella


レジオネラ症の原因細菌です。

病原体について

レジオネラ症の病原体は、 レジオネラという細菌です。

レジオネラ属菌には、50の種が属していますが、20の種が人間の病気に関係していると考えられています。

特徴

レジオネラによって引き起こされる感染症を、レジオネラ症と言います。

レジオネラ症には、在郷軍人病とポンティアック熱との二つの型があります。在郷軍人病は、肺炎を含む重症の型であり、ポンティアック熱は軽症の型です。在郷軍人病の患者の致死率は、約5~30%です。在郷軍人病で見られる肺炎は、レジオネラ肺炎と呼ばれることもあります。

1976年、米国フィラデルフィアにおける米国在郷軍人会の州総会の参加者に原因不明の肺炎が多発したため、この原因不明の肺炎が在郷軍人病(Legionnaires’ disease:LD)と名付けられました。このときには、最終的な集計では221人の患者が発生し、34人が死亡しました。

ポンティアック熱については、米国ミシガン州オ~クランド郡のポンティアックで1968年7月から8月始めにかけてオ~クランド郡の保健部の建物に入った人たちで144人の患者の集団発生がみられたことで名付けられました。

感染経路

レジオネラで汚染された水から、空調等の冷却塔、泡立つ風呂、打たせ湯、加湿器、噴水、散水器、シャワ~などでレジオネラを含んだエアロゾルが発生し、このエアロゾルを吸い込んだ人たちで、レジオネラ症の集団発生が起こることがあります。

ただし、レジオネラ症は、人から人へは感染しません。

潜伏期間と主な症状

在郷軍人病の潜伏期間は、2~10日間ですが、10日間を超えることもあります。

主な症状は、発熱、悪寒、咳、息切れです。痰は少ないことが多いです。筋肉痛、頭痛、疲労感、食欲減退や、ときには嘔気・嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状が見られる場合もあります。腎機能の低下が見られる場合もあります。胸部X線写真では肺炎がしばしば認められます。

但し、在郷軍人病の潜伏期については、10日間を超えることもあります。

ポンティアック熱の潜伏期間(病原体に接触してから発病するまでの期間)は、数時間から3日間です。ポンティアック熱では、発熱や筋肉痛が見られますが、肺炎は見られません。

特別な治療は必要とせず、治療なしでも2~5日間で回復するのが通常です。

レジオネラ症の検査としては、痰の中のレジオネラを検出する検査、尿の中のレジオネラ抗原を検出する検査、3~6週間の間隔で採血してレジオネラに対する抗体価の上昇を確認する検査などがあります。

抗生物質について

レジオネラ症の治療では、エリスロマイシン( erythromycin )という抗生物質が使われることがあります。

重症例では、リファンピシン( rifampin )が追加併用されることがあります。

注意すること

集団発生予防のためには空調等の冷却塔、気泡発生装置付き浴槽、打たせ湯、加湿器、噴水、散水器、シャワーなどで使われる水(お湯)がレジオネラで汚染されないようにすることが大切です。

集団発生が起こった場合には、保健所、衛生部局、衛生研究所等が協力して対応し、感染源の発見、集団発生の拡大・再発の予防に努めます。

庭の手入れをする人は、鉢植え用培養土の扱いには注意しましょう。中身が飛散して吸い込むことのないように、鉢植え用培養土の袋は慎重に開けましょう。

鉢植え用培養土は、手袋をして取り扱い、取り扱った後には手をよく洗いましょう。鉢植え用培養土が飛散するような勢いで水をかけるのは止めましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 2017-7-18

    次世代リーダー研修(総合リスク管理兼リーダー研修)

    感染症や食中毒対策、BCP、リスク管理、次世代リーダー育成など、事業の成長と防衛に欠かせない研修をパ…
  2. 2017-8-7

    学術雑誌「医療看護環境学」を創刊致しました!

    学術雑誌「医療看護環境学」を創刊致しました! どうぞご利用ください! 医療看護環境学の目的 …
  3. 2021-4-1

    感染症ガイドMAP

    様々な感染症情報のガイドMAPです 下記のガイドを参考に、情報をお調べください。 感染症.com…
  4. 2021-4-1

    感染症.comのご利用ガイドMAP

    一緒に問題を解決しましょう! お客様の勇気ある一歩を、感染症.comは応援致します! 当サイトを…
  5. 2022-9-1

    感染対策シニアアドバイザー2022年改訂版のお知らせ

    感染対策シニアアドバイザーを2022年版に改訂しました! 感染対策の最前線で働く職員の…

おすすめ記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る