代表的な食中毒の種類について

代表的な食中毒の種類について

食中毒の原因となる代表的な病原微生物や物質を整理しております。

1)食中毒の分類例

2)細菌性感染型食中毒

サルモネラ(G―、桿菌)

主な原因食品:鶏卵、食肉(特に鶏肉)
毒素名:不明
症状例:嘔吐、下痢、発熱、頭痛、腹痛
対策例:卵は冷蔵保管し、加熱は十分な調理。食肉の生食を避ける。加熱料理は75℃1分以上。

病原性大腸菌(G―、桿菌)

主な原因食品:加熱不十分な牛豚肉、生野菜など多種の食品、井戸水
毒素名:ベロ毒素
症状例:症状と毒素について数種類のタイプがある
対策例:食肉の生食を避ける。加熱料理は75℃1分以上。定期的な水質検査。

腸炎ビブリオ(G―、桿菌)

主な原因食品:魚介類※特に生食
毒素名:耐熱性溶血毒
症状例:腹痛、水様粘血下痢、軽度の発熱
対策例:低温管理(5℃以下)。真水で洗浄。加熱料理は75℃1分以上。

カンピロバクター(G―、らせん菌)

主な原因食品:食肉(特に鶏肉)、牛乳、飲料水
毒素名:コレラ毒素様腸管毒
症状例:悪臭ある水様粘血下痢、無嘔吐
対策例:生食と調理した肉類は別々に保存。加熱料理は75℃1分以上。飲料水の煮沸。

赤痢菌(G―、桿菌)

主な原因食品:海産物(特に貝)、生野菜、流行地での食品や飲料水
毒素名:志賀毒素
症状例:しぶり腹を伴う膿粘血便
対策例:細菌自体は65℃で死滅。毒素は80℃10分の加熱で消毒。

エルシニア・エンテロコリチカ(G―、桿菌)

主な原因食品:加工品(特に豚肉)、食肉、乳・乳製品
毒素名:腸管毒
症状例:腹痛、下痢、嘔気、嘔吐、発熱、虫垂炎様症状、関節炎
対策例:低温でも増殖するため、冷蔵庫を過信しない。耐熱性はなく、低温でも殺菌できる。

コレラ菌(G―、桿菌)

主な原因食品:海産物(特に貝類とエビ)、流行地での生水、非加熱食品
毒素名:コレラ梅毒
症状例:米のとぎ汁のような下痢と嘔吐
対策例:海外、流行地での生もの接種。

ウェルシュ菌(G+、芽胞形成菌)

主な原因食品:深鍋料理(特にシチューやカレー)
毒素名:エンテロトキシン
症状例:腹痛、悪心、水様性下痢
対策例:熱に強い為、深鍋料理などの大量調理時は特に注意。75℃1分以上の加熱。調理後は早めに食べる。加熱食品は短時間冷却と低温保存。

クロストリジウム・ディフィシル(G+、芽胞形成菌)

主な原因:抗生物質の投与による菌交代症
毒素名:AおよびB毒素
症状例:腹痛、各種の下痢、偽膜性大腸炎
対策例:手術後の抵抗力の落ちているとき。免疫抑制剤などの種類の薬を使用しているとき。

3)細菌性毒素型食中毒

黄色ブドウ球菌(G+、球菌)

主な原因食品:おにぎり、仕出し弁当、サンドイッチ
毒素名:耐熱性腸管毒・エンテロトキシン(100℃30分耐性)
症状例:嘔吐、下痢
対策例:素手による調理は要注意。手指に傷・化膿創がある場合は調理しない。手指の洗浄・消毒の徹底。

ボツリヌス菌(G+、芽胞形成菌)

主な原因食品:魚肉発酵食品(特に飯寿司)、缶詰、瓶詰食品(特にマッシュルーム、はちみつ)、真空パックの食品
毒素名:ボツリヌス毒素(100℃1分で失活)致死率の高い強力毒素A~G型
症状例:嘔吐、脳神経麻痺、複視、呼吸筋麻痺
対策例:新鮮な原材料を使用し、十分な洗浄。低温保存。喫食前の十分な加熱。真空パックや缶詰が膨らんでいる場合は要注意。

セレウス菌(G+、芽胞形成菌)

主な原因食品:腐敗した米飯(特に焼き飯、チャーハン)、穀物加工品(パスタ)、腐敗した肉、肉製品、スープ
毒素名:嘔吐毒、下痢原性毒素
症状例:嘔吐、腹痛、水様性下痢
対策例:一度に大量の米飯や麺類を調理しない。米飯・茹でたパスタを室温で放置しない。低温保存する。

4)ウイルス性食中毒

ウイルス性食中毒は、ウイルスが蓄積している食品の摂取や、人の手を介して感染が起こります。現在、その大部分がノロウイルスによるものです。

5)自然毒食中毒

動物や植物が本来持っている有毒成分と、食物連鎖を通して動植物に取り込まれたものを指します。また、人がこれら有毒成分を含む動植物を食べることで引き起こされる健康被害のことを、自然毒食中毒といいます。自然毒は、植物性自然毒と動物性自然毒に大別されます。

近年では、ニラとスイセンを間違えて食べるなどの事故が多発しております。

植物性食中毒

トリカブト、毒キノコ、ジャガイモ、スイセン など

動物性食中毒

ふぐ、貝類 など

6)寄生虫食中毒

獣肉や魚や生水に寄生している虫によって引き起こされる健康被害のことを、寄生虫食中毒といいます。

代表的なものに、クドア、サルコシスティス、アニサキス、クリプトスポリジウム、サイクロスポラなどがあります。

7)化学性食中毒

食品の生産・加工・保存・流通および消費の過程で、食品内に外部から混入することや、 食品内で生成する有害物質のうち、化学物質によって引き起こされる健康被害のことを、化学性食中毒といいます。

代表的なものに、洗剤・漂白剤、農薬、食品添加物、水銀・鉛などがあります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 2017-8-7

    学術雑誌「医療看護環境学」を創刊致しました!

    学術雑誌「医療看護環境学」を創刊致しました! どうぞご利用ください! 医療看護環境学の目的 …
  2. 2021-4-1

    感染症ガイドMAP

    様々な感染症情報のガイドMAPです 下記のガイドを参考に、情報をお調べください。 感染症.com…
  3. 2021-4-1

    感染症.comのご利用ガイドMAP

    一緒に問題を解決しましょう! お客様の勇気ある一歩を、感染症.comは応援致します! 当サイトを…
  4. 2022-9-1

    感染対策シニアアドバイザー2022年改訂版のお知らせ

    感染対策シニアアドバイザーを2022年版に改訂しました! 感染対策の最前線で働く職員の…
  5. 2022-9-1

    感染対策アドバイザー2022年改訂版のお知らせ

    感染対策アドバイザーを2022年版に改訂しました! 一般企業の職員でも基礎から学べ、実…

おすすめ記事

ページ上部へ戻る