2022/03/04【新型コロナウイルス:COVID-19】第6波の死者、施設での「看取り」相次ぐ 都内コロナ死536人分析

新型コロナの第6波で、東京都が発表した1月以降の死者536人のうち3割超の183人が、特別養護老人ホームなどの施設内で感染していたことが朝日新聞の集計でわかった。うち78人は入院せずに施設療養中に死亡し、入院調整中だった人もいた。病床の負担軽減の一環で、都は第6波で施設内の感染は入院ではなく、往診での対応を基本としており、施設内の死亡例が目立っている。
3月2日までの都発表をもとに1月以降に死亡した536人(死亡日1月10日~2月28日)の感染経路や死亡状況などを分析した。年代では60代以上が508人で94・8%を占めた。
536人のうち2月の死者は449人。重症化しにくいとされてきたオミクロン株による第6波だが、月別の死者数としては、昨夏の第5波のピークだった8月(442人)を上回り、これまで最多だった第3波の昨年1月(477人)に迫りつつある。死者は遺族の同意を得て公表されるため、2月の死者はさらに増える可能性がある。

■死者の感染経路、施設が3割、病院2割

感染経路別では、高齢者施設などの施設内が最多183人(34・1%)。2番目は医療機関での院内感染(125人、23・3%)で、死者の半数は施設や病院内での感染だった。施設で感染した183人の約4割、78人は感染判明後も入院せず、施設内で療養し、施設内で死亡するか、施設から救急搬送された先で死亡していた。
入院など積極的な治療を望まなかったケースもある一方、医師や看護師が感染・濃厚接触者となり、十分な入院の受け入れ態勢が維持できていないことも背景にある。都の幹部は「最善の努力は尽くしている。ワクチンの3回目接種や往診の強化などやるべきことをやっていく」と話す。
都の病床使用率は50・5%(3日時点)だが、入院者約3800人の7割は60代以上(2日時点)で介護が必要な人もおり、すでに多くの人手が割かれている。3日のモニタリング会議では「透析」や「介護」を必要とする人の入院調整が困難な状況で、翌日以降に持ち越されている現状が報告された。
一方、オミクロン株ではコロナによる肺炎そのものは重くなくても、感染をきっかけに持病が悪化して死亡するケースが相次いでいるとの報告もある。
今回の536人のうち何らかの持病があったと判明している人は401人(74・8%)。最多は高血圧の130人で、脳疾患の75人、糖尿病73人、腎臓の疾患66人、心臓の疾患65人などだった。
男女別では男性が59・3%に対し、女性が40・7%。年代別の最多は80代の219人(40・9%)で、90代の159人(29・7%)、70代の89人(16・6%)と続いた。
ワクチンについては2回接種済みだった人が243人、1回は7人、接種なしは72人、不明が214人だった。
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