2020/05/15【新型コロナウイルス:COVID-19】感染対策に苦悩する葬儀業者 /北海道

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、遺体の出棺を請け負う葬儀業者も感染予防の必要に迫られています。
札幌市で葬儀会社を経営する中島浩盟さんは、4月以降、新型コロナウイルスに感染して亡くなった10人以上の出棺に立ち会ってきました。
感染者の出棺を引き受けるにあたって中島さんが一番心配したのが、遺体に近づくことによる二次感染だということです。
国のガイドラインやルールが明確に定められていないことから、道内の葬儀会社では手袋やゴーグル、防護服を備えたり、自治体ごとに取り決めを交わしたりして対応しています。
例えば札幌市との取り決めでは、大抵の場合、遺体をひつぎに納めるまでを医療機関が行い、業者は医療機関から斎場までの搬送と、遺骨の引き渡しを行うとしています。
遺体は二重に包んでひつぎに納められたあと、そのまま斎場に運んで火葬され、通夜などは開かれず、遺族が別れを惜しむ時間すらないのが実情だといいます。
中島さんは「最後、火葬場に行ってもふたを開けることもなく、ただお見送りするだけで、家族は悔しさや寂しさをかなり持っていると思います」と話しています。
出来るだけ遺族に寄り添った葬儀を行いたいという中島さんですが、取り決めに反して、葬儀業者が病室に招き入れられたり、遺族が濃厚接触者であることを知らされなかったりするケースも起きていてるということです。
中島さんは「ここまでは病院でここからは葬儀社という役割を明確にしなければ、最後、ご遺体を運ぶ人がいなくなります」と危機感を募らせています。
そこで中島さんはこれまでの注意点をまとめ、同業者どうしで情報を共有する取り組みを始めました。
独自に作ったマニュアルには、▼病室や霊安室に立ち入らないことや、▼遺族が濃厚接触者かどうか必ず確認することなどが盛り込まれています。
それでも感染者の出棺を引き受けるのはごく一部の業者にとどまっていて、取り決めのない福祉施設などでも死者が相次ぐ中、このままでは「葬儀崩壊」につながりかねないと中島さんは指摘します。
業界団体の1つ、北海道葬祭業協同組合の湯浅匠司理事長も「葬儀崩壊」が現実味を帯びてきているとして、「すべての方々にまっすぐ病院から火葬場でお骨にするそんな葬儀になるリスクがあるのではないか」と話しています。
さらに湯浅理事長は「新型コロナウイルスにかかっているかどうか判別できない状況の中で葬儀に進む場合もある。医療従事者や行政、国が1つになって一日でも早く家族も安心でき、葬儀を手伝うスタッフも感染リスクがない、そんな葬儀の形づくりをしなければいけない」と述べ、業務手順を定めた統一のルールづくりを国や道に働きかけたいとしています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200515/7000021135.html

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