2020/04/11【新型コロナウイルス:COVID-19】米NY州 感染者数の横ばい状態続く 外出制限の効果か /アメリカ

アメリカで新型コロナウイルスの感染者数が最も多いニューヨーク州では、外出を制限する命令が出されてからおよそ3週間がたち、1日当たりの新たな感染者数はおよそ8000人と、横ばいの状態が続いていて、専門家は外出制限の効果が出ていると評価しています。
ニューヨーク州では先月1日に初めて感染者が確認されましたが、その後、1か月で感染者数は8万人を超え、10日の時点で17万512人となっています。
クオモ知事は、感染者数が70人を超えた先月7日、非常事態宣言を出しましたが、学校を休校にしたのは感染者数がおよそ1000人に達した先月16日で、飲食店の営業制限は先月17日まで実施しませんでした。
その後、一日の感染者数が1000人を超えた先月18日から、すべての事業所に対し出勤する従業員を50%に、翌19日からは25%に減らすよう求めました。
そして、先月22日から、医療従事者や食料品店の従業員など、必要と認められた人を除いてすべての人に自宅にとどまるよう求める外出制限を始めましたが、この日はおよそ5000人の感染者が報告されました。
感染者数は、この後、1日当たり5000人から8000人のペースで増え続けていますが、休校など人と人との接触を避ける措置が始まってから2週間となる今月に入ってからは、1日の増加数は8000人から1万人程度で安定しているほか、入院する人の増加のペースも鈍っています。
ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院のケイトリン・リバース准教授はNHKのインタビューに対し「外出制限のおかげで人との接触を避ける『ソーシャル・ディスタンシング』が徹底され、効果を上げている」と評価したうえで、「今後、感染をこれ以上広げないようにしながらどのように外出制限をゆるめ、社会活動を再開するかが課題になる」と述べています。
また、ニューヨーク市立大学のデニス・ナッシュ教授は「ニューヨークの外出制限はもっと早く導入されていればさらに効果が顕著だっただろう」と述べたうえで「患者がわずかな段階で外出制限を導入するのは難しい判断だが、公衆衛生の専門家は早ければそれだけ効果があるという認識で一致している。外出制限による効果を国民に公開して、なぜ必要なのかを理解してもらうことが必要だ」と述べました。
NYの柳澤医師「東京でも起きる可能性」
ニューヨークにあるマウント・サイナイ医科大学の教授で、「米国日本人医師会」会長も務める柳澤・ロバート・貴裕医師は、NHKのインタビューに対し「ニューヨークで起きたことは東京でも起きる可能性がある」と述べ、日本も患者数が急増した場合に備えるべきだと訴えました。
柳澤教授は現在のニューヨークの医療機関の現状について「医療機関は、空いているスペースをすべて病床にして対応し、必要のない手術は延期しており、新型コロナウイルスの患者以外の人にも影響が出ている。医師や看護師など医療従事者の努力でぎりぎり医療機関の機能を維持している状態だ」と事態の深刻さを説明しました。
そのうえで、柳澤教授は「先月上旬のニューヨークの状況は今の東京と似ている。行動や人口密度も似ているので、ニューヨークで起きたことは東京でも起きる可能性がある」と述べました。
そして、日本で軽症の患者や症状のない人に入院先の病院からホテルなどの宿泊施設に移ってもらう対応が始まっていることについて「ホテルのスタッフへの感染を防ぐマニュアルを作ったり、患者の状態を見るためにビデオで診察ができる仕組みを導入したりといった準備をしておくことが大切だ」と述べ、今のうちから患者が急増する事態に備えるべきだと訴えました。
警察官に感染拡大 治安悪化が懸念
新型コロナウイルスの感染者がアメリカの都市で最も多いニューヨーク市では、警察官への感染も広がっているほか、一時的に休業している店舗などをねらって盗みに入る事件が増えるなど、治安の悪化が懸念されています。
ニューヨーク市警によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認された警察官は9日の時点で2204人で、ほかの病気も含めて仕事を休んでいる警察官は合わせて7155人となり、全体のおよそ2割に上っています。
ニューヨーク市警は、けが人のいない交通事故などへの対応を限定的にするなど人のやりくりを工夫しており、治安の維持に影響はないとしていますが、州政府が、住民に外出を控えるように求め始めた先月半ば以降、一時的に休業している無人の店舗などをねらって盗みに入る事件が増えたということです。
こうした事件は、先月12日から31日までの間に前の年の同じ時期と比べて83件増えて577件となり、率にして16.8%増加しました。
このため、ニューヨークマンハッタンにある高級ブランド店などでは店のショーウインドーをすべて木の板で覆っている店もあります。
また、先月7日以降、ニューヨーク市内では、新型コロナウイルスに関連してアジア系の住民が、傘で殴られたり嫌がらせをされたりする事件が少なくとも7件確認されているということで、治安の悪化が懸念されています。

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