2020/04/06【新型コロナウイルス:COVID-19】少なくとも48大学で感染者 対応に追われる 新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの感染が、全国各地の大学に広がっています。これまでに少なくとも全国48の大学で、学生や教職員に感染者が出ていることがNHKの取材で分かりました。
新型コロナウイルスの感染拡大は新学期を迎えた大学にも、入学式ができなかったり授業の開始時期が遅れたりするなどの影響を与えています。
これまでに全国で少なくとも48の大学で学生や教職員に感染者が出ていることが、NHKの取材で分かりました。
内訳は、
▽国立大学が、北海道大学、東北大学、東京大学、大阪大学、神戸大学、九州大学など12の大学、
▽公立大学が県立広島大学と、愛知県立大学、
▽私立大学が、早稲田大学、明治大学、関西学院大学、京都産業大学など34の大学です。
一部の大学は感染者に学内で接触した人がいないといった理由で、この事実を公表していません。
大学などによりますと、留学や旅行、出張など海外から帰国したあとに感染が確認されるケースが多いということです。
また授業の開始時期が遅れたりオンライン授業を導入したりする大学もあり、学生の中には地方に帰省する動きもありますが、東京のある私立大学では学生が実家に帰省したあとに感染が確認された例もありました。
「学生は行動を記録しリスク自覚を」
感染症の予防対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、「感染のリスクは移動に伴って高まるため、自粛を促した方がリスクを下げられるのは確かだが、自由な大学生の行動を制限するのは難しい。しかし、学生自身もリスクの高い行動や場所を自覚するため、毎日の検温や、どこで誰に会ったかなどの行動記録を日常的に記録してほしい。大学にも、そうした学生の健康管理のサポートに一役買ってほしい」と話していました。
入学式は学生代表だけで
新型コロナウイルスの感染予防のため、大学も対応に追われています。
長崎大学は、先週、入学式を行いましたが、出席は多くの学生が密集するのを避けるため、16人の代表者だけとしました。
時間を短縮するため、例年は行われる演奏も中止されました。
式では、河野茂学長が「ウイルスの感染が拡大し、東京オリンピックも延期されました。不安もあると思うが、長崎大学は皆さんが挑戦できる場を用意します」と激励しました。
式に出席した多文化社会学部の新入生は「代表に選ばれてうれしいですが、人数も少なく、入学式という実感はあまりなかったです。大学では物事を覚えるだけでなく、自発的に学ぶようにしたい」と話していました。
河野学長は「感染予防もしながら、何か形に残したいという思いでこのような形式にしました。動画を撮影したので、すべての新入生にも見てもらいたい」と話していました。
構内への立ち入りを制限
集団感染を避けるため、構内への立ち入りを制限したりオンライン授業に切り替えたりした大学もあります。
その1つ東京大学では、学内で感染者が出たことなどから、4日から学生や教員に原則大学に来ないよう通知し、立ち入りも制限しています。
浅井祥仁教授の研究室には42人の国内外の学生が所属していますが、先月から海外出張を取りやめたほか、日本に来る留学生には2週間の待機と検査を徹底してもらっているということです。また今月始まる授業は当面の間、通常のゼミ形式のものは実施せずオンライン授業に切り替えます。
浅井教授は「大学はサークルや研究室など同じ志を持った人が集まって刺激をもらうことできるなど距離が近いことが利点だが、感染症の観点では集団感染のリスクになってしまった。特に新入生の学生生活をどう支援すればいいのか、頭を悩ませています」と話していました。
上京から10日余で実家に帰る入学生
この春、大学に入学したばかりの学生にも動揺が広がっています。
柳生悠太さん18歳は、この春、東京大学文科一類に入学しました。将来は、政治学者になりたいという柳生さんは、北海道から先月25日に上京し、学生寮に入って新たな学生生活をスタートさせるはずでした。
ところが東京大学でも新型コロナウイルスの感染者が出ました。
大学は先月31日になって、キャンパスでの授業は当面行わずインターネットを活用したオンライン授業にすると発表しました。
柳生さんは先週土曜日、憧れの駒場キャンパスを訪れました。
感染対策で立ち入りが制限され、例年ならキャンパスにあふれかえる学生の姿はほとんどありませんでした。
柳生さんは、「東大の教室で授業を受けたりサークル活動に参加したりするのを楽しみにしていたので、とても残念です」と話しました。
柳生さんも学生寮から、感染を防ぐためいったん実家に帰るよう勧められ、上京して10日あまりで、北海道の実家に帰ることになりました。
同級生の顔もみないまま東京をあとにする柳生さん。次に東京に戻るのは、早くても夏休み明けになると考えています。
柳生さんは「隠れ感染者みたいなのが結構いると思うので、人が多ければ多いほど感染するリスクも高まるので危ない橋は渡らないほうがいいのかなと思っています。本当のキャンパスライフは、2年生からになってしまうかもしれません」と話していました。
全講座をオンライン授業に
大学の中には、新学期からの授業をオンラインで行うところが増えています。
愛知県日進市の名古屋商科大学では、新学期に予定されていた体育以外の300科目の講座すべてをオンライン授業で行うことを決めました。
6日は経済学部の吉井哲教授が、180人あまりの学生に対して地球温暖化対策や新型ウイルスへの対応をテーマに早速オンラインで授業を行いました。
吉井教授は学生全員を映した画面をみながら意見を述べさせたり、テレビ会議システムを使ってディスカッションをさせたりしていました。
この大学では、入学と同時に学生に1人1台パソコンを配備したということです。
授業を受けた2年生の大石未来弥さんは「先生やほかの学生の声がはっきり聞こえました。また互いの顔を見て話すので、学校でやるディスカッションよりもむしろ意思の疎通ができ、画期的だと感じました」と話していました。
吉井教授は「学生の反応がつかみにくいが、思っていたよりディスカッションも盛り上がり授業らしくなったと感じた。感染拡大の中でも授業を継続することは大事なので、学生が参加感を得られるよう工夫を重ねたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/…/20200406/k10012370831000.html

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