風疹ウイルス Rubella Virus


風疹(3日はしか)と深刻な問題の先天性風疹症候群(CRS)の原因ウイルスです。

病原体について

風疹ウイルスはトガウイルス科(Toga Virus family)のルビウイルス属(Rubi Virus genus)に属するウイルスです。

風疹ウイルスは、感染した人の鼻汁やのどの粘液から、発疹出現の1週間前~2週間後までの間、分離されます。大量のウイルスが対外に放出されるのは、発疹出現後、4日までです。尿・血液・脳脊髄液などから検出されることもあります。

アメリカ合衆国のCDC(疾病管理センター)のサーベランス・マニュアルによれば、風疹患者が他の人を感染させる可能性がある期間は、発疹出現の7日前から7日後までの間としています。同マニュアルによれば、風疹患者は発疹出現の7日後まで隔離するべきであるとしています。

特徴

風疹は、「3日はしか」ともいわれ一般的に感染症状は軽いです。

風疹ウイルスに感染した者の鼻やのどからの分泌物の中に風疹ウイルスが含まれます。そこで、風疹ウイルスに感染した者が咳をすること等によって生じた飛沫の中には風疹ウイルスが含まれています。

この飛沫や鼻やのどからの分泌物がものの表面に付着して、手指を介して鼻や口の中へ運び込まれることもありますが、風疹の感染の多くは、この飛沫を吸い込むことによって起こります。風疹ウイルスは、鼻・咽頭部の粘膜に付着・侵入し増殖を起こします。この5~7日後に、ウイルス血症(ウイルスが血液中に観察される状態)が起こり、風疹ウイルスが血液の流れに乗り、全身を巡ります。

妊娠早期の母親の感染で起こる先天性風疹症候群(CRS)では、このとき、胎盤を通過した風疹ウイルスによって、胎児の感染が起こります。

感染経路

風疹は、患者の咳や会話で飛び散る飛沫を介して感染します。

患者は発疹が出る前後1週間ほど風疹ウイルスを排出しているということです。

また風疹の免疫がない人の中に患者が1人いた場合、何人の人にうつすかを示す指標では、インフルエンザは1~3人であるのに対し、風疹は5人~7人と言われています。

潜伏期間と主な症状

潜伏期は、12~23日(平均で17日)です。

症状はしばしば穏やかで、風疹ウイルスに感染した人の内、30~50%は、症状がはっきりしません。(不顕性感染と言いますが、ちゃんと免疫がつきます。他の人を感染させることもあります)

主な症状は、発熱と、その翌日くらいに小さくて細かい赤い発しんが顔から出始め、全身に一気に広がります。また、耳の後ろや後頭部のリンパ節が腫れて、痛むこともあります。また目が充血し、関節痛を訴える人も多いということです。大人の患者の3割に、39度以上の高熱が出たという報告があります。

このことから、「風疹は子どもがかかる病気」だと思って油断してはいけません。

成人の風疹の多くは、1週間程度で症状が治まると言われていますが、中には風疹のウイルスによって脳に炎症が起きる「脳炎」と診断されたケースもあります。重症に至らないまでも、40度近い高熱が数日間続き、血小板が減少して入院するケースもあります。1週間ほど仕事ができなくなることが多いため、仕事や生活にも支障が出てしまいます。

子どもでは、通常、赤い発疹が、最初のはっきりした症状です。風疹ウイルスが侵入してから通常14~17日後に赤い斑状丘疹が出現します。

年長児や大人では、この赤い発疹の前に、微熱・気分不快・上気道炎・結膜炎・リンパ節腫脹といった症状が、1~5日前から出現する場合があります。発熱、発疹、頸部リンパ節腫脹が3主徴とされます。赤い発疹は、顔に最初に出現し、四肢へと広がっていきます。かゆみを伴うこともあります。

赤い発疹は、麻疹より赤色が薄く、癒合しません。赤い発疹は、熱いシャワーを浴びたりすると、目立ちます。赤い発疹は、24時間で出そろいますが3~5日間ほど見られて消えるため、欧米では、風疹のことを「3日はしかthree-day measles」ということがあります。(これに対し欧米では、麻疹のことを「9日はしかnine-day measles」ということがあります)

リンパ節腫脹は、発疹が出現する5~10日前から始まり、数週間持続します。
耳の後ろ、首の後ろ、後頭部下のリンパ節が、通常、腫脹しますが、大人でははっきりしない場合もあります。頭を洗ったり、髪の毛をとかしたりしている時に気づく場合があります。

合併症として、関節痛・関節炎は、大人の女性の約70%で見られますが、大人の男性や子どもでは、まれです。指、手、膝の関節が痛むことが多いです。関節の症状は、発疹出現と同時か、やや遅れて出現し、1か月も続くこともあります。慢性の関節炎となることは、まれです。

合併症として、脳炎は、風疹5,000~6,000例に1例の確率で起こりますが、大人の女性で起こりやすいです。脳炎になった場合の致死率は0~50%です。

血小板減少性紫斑病による出血が風疹3,000例に1例の確率で起こりますが、子どもで起こりやすいです。

母親が妊娠の初期に風疹に感染すると、胎児の死、流産、死産、早産、白内障、心臓疾患、難聴、胎児の先天奇形等の異常を起こす可能性があります。妊娠12週未満での感染では、85%で何らかの影響を受けますが、妊娠20週以降の感染であれば、児の先天奇形はまれです。

深刻な問題の先天性風疹症候群(CRS)

最も重要な問題は、妊娠初期(3ケ月以内)に感染した場合、白内障、心臓疾患、難聴等の先天性風疹症候群(CRS)という機能障害児が産まれる可能性があることです。

その確率は妊娠初期に感染するほど高く、妊娠1か月では50%以上、2か月で35%、3か月で18%、4か月で8%というデータがあります。妊娠していることに本人や周囲が気づかず、「無警戒」な時期に感染してしまうおそれもあるのです。

日本の流行株ウイルスは幸いにも障害がないケースが多いですが、妊娠初期に感染するとCRS児の出産を懸念するケースが多いです。アメリカ流行株は比較的強毒であるため、1964~65年に沖縄で大流行した時は400人近い難聴のCRSの子供が産まれた不幸な事例があります。

2012年の秋から東京を中心とする首都圏に大流行し、2013年3月には東京を訪れた人が感染して地方に持ち帰り全国各地に感染が拡大をしている状況です。

最近の報告では、身近に風疹を発症した人がいないのに感染する妊婦が相次いでおり、外出中に感染をしてしまっていることが考えられます。生まれてくる赤ちゃんを守るためには、多くの人が風疹に感染しないように予防することが重要です。

ワクチンについて

母親がワクチン接種を受ければ、子供の不幸を容易に回避できます。

幼児期のワクチン効果を確認する意味からも、妊娠前に一度は抗体が陽性であるか否か調べる必要があります。陰性の場合は迷わずワクチン接種を受けるべきです。

安全性を確認するための臨床試験を行えないため、妊娠後のワクチン接種はできません。麻しんウイルスの項目でも記載しましたが2回のMRワクチン接種が普及されることが望ましいです。

1977年から女子中学生への集団接種を行ってきましたが、予防接種法の改正により、1995年4月から1~7歳半の男女の定期接種となりました。

当時7歳以上の男女(1979年4月2日から1987年10月1日生まれ)は接種を受けていないということになり「谷間の世代」が出産を迎える際は、特に注意が必要です。

注意すること

  • 風疹にかかった人は、職場や学校を休んで、通院以外は外出を控えましょう。
  • 学校保健安全法での登校基準は、「紅斑性の発疹が消失するまで出席停止とする。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認められたときはこの限りではない。なお、まれに色素沈着することがあるが出席停止の必要はない。」となっています。
  • 風疹には予防接種があります。かかりつけ医に相談しましょう。
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