2022/08/12【新型コロナウイルス:COVID-19】新型コロナ 追加接種やオミクロン株対応ワクチン どう考える

秋にまた、新型コロナウイルスのワクチン接種?
厚生労働省はオミクロン株に対応したワクチンの接種を、10月中旬以降に開始する方針を決めました。
追加の接種はいつ受けるのか。オミクロン株対応のワクチンを待ったほうがいいのか。どう考えればよいのか、専門家に聞きました。

■オミクロン株対応ワクチンが10月中旬以降に

オミクロン株に対応した新しいワクチンの接種を10月中旬以降に始める。
厚生労働省は8月8日、このような方針を決めました。
対象は、2回目までの接種を終えたすべての人。
詳しく言うと、新しいワクチンは、ことし初めごろからの第6波で広がったオミクロン株の「BA.1」に対応したワクチンと、これまで接種してきた元の新型コロナウイルスのワクチンの2種類が含まれています。
「2価(にか)ワクチン」と呼ばれるタイプです。
2回目までの接種を終えた人は3回目として、3回目までの接種を終えた人は4回目、4回目の接種を終えた高齢者などにとっては5回目の接種になる見込みです。

■オミクロン株対応ワクチン 効果は

オミクロン株に対応するワクチンは効果が期待できるのか。
いま使われているmRNAワクチンは、2年前に新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初の「野生株」などと呼ばれるウイルスの遺伝情報を使って作られています。
接種すると「スパイクたんぱく質」が体内で作られ、さらに、これに対応する形の抗体ができてウイルスを抑えます。
ところが新型コロナウイルスは次々に変異していて、ことしの初めごろからはオミクロン株の「BA.1」や「BA.2」が広がり、今は「BA.5」がほぼすべてを占めています。
抗体が狙い撃ちするウイルスの部分「スパイクたんぱく質」の形が変わってしまっていて、これまでのワクチンで感染や発症を防ぐ効果は以前の変異ウイルスに対してよりも下がっています。
このため、オミクロン株の遺伝情報を使ってワクチンを作り直せば効果が高まるのではないかと考えられているのです。
国内では、ファイザーが8月8日、モデルナが8月10日に、それぞれ、「BA.1」と従来のウイルスに対応した「2価ワクチン」の承認を厚生労働省に対して申請しました。
ファイザーの発表によりますと、56歳以上の1200人余りが参加した臨床試験の中で、4回目の接種として使った場合の中和抗体の値が従来型のワクチンを使った場合と比べて1.56倍に上昇したということです。
安全性に問題はなかったとしています。
モデルナは、第三者の査読を受ける前に公表した論文の中で、アメリカで行った臨床試験の結果、4回目の接種として使った場合の中和抗体の値が従来型のワクチンを使った場合と比べて1.75倍に上昇したとしています。
副反応は、接種した場所の痛みが77%、けん怠感が55%、頭痛が44%などで、大部分は軽度から中程度だったとしています。

■「オミクロン株対応ワクチン必要 従来型使うよりはいい」

臨床ウイルス学が専門で、ワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「さまざまな変異ウイルスが出てきて、オミクロン株はそれまでの変異ウイルスに比べてとても多くの変異を持っている。ウイルスの特徴がかなり変わってきているので、従来型のワクチンでは対応しきれない側面があり、オミクロン株対応のワクチンが必要になってくると思う。従来型のワクチンを使うよりはいいだろう」と指摘しています。

■「ワクチンのアップデートは必須」

数理疫学が専門で京都大学の西浦博教授は、8月10日の厚生労働省の専門家会合のあと、いま国内でほぼすべてを占めている「BA.5」は「BA.1」に感染して得られる免疫を回避することが知られていると指摘したうえで「新たなワクチンは『従来型のワクチンよりは効くだろう』といったことまでは言えるが、過度の期待をしてはならないと考える。今後も感染が続くと思われる以上は、高齢者など重症化リスクの高い人に接種することは必要で、ワクチンのアップデートは必須のものだ」とコメントしています。

■「いままでのワクチンより効果が下がることはない」

また、免疫学が専門で大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之招へい教授は「当初はそれぞれの変異ウイルスに応じたワクチンができればいいと思っていたが、オミクロン株の変異はこれまでと大きく異なっていて、ウイルスはわれわれの免疫から逃れる変異がどんどん蓄積されている。これまで以上に強いワクチンができるかというと、大きな期待はできないと思っている。ただ、いままでのワクチンより効果が下がることはないと思う」と話しています。

■いま接種するか オミクロン株ワクチンを待つか

秋に新しいワクチンの接種が始まることが見えてきた中で、新しいワクチンを待つべきなのか。
過去最多の感染者数を更新する今の感染状況で、3回目や4回目の接種がまだな人は、いま接種すべきなのかどうか。
首相官邸のウェブサイトによりますと、8月12日の時点で
▽2回の接種を終えた人は人口の81%にあたるおよそ1億256万人、
▽3回目の接種を終えた人は人口の63.6%にあたるおよそ8055万人、
▽高齢者などを対象に進められている4回目の接種を終えた人はおよそ1778万人となっています。
ワクチンの接種の際には前回の接種から一定の期間を空けることとしていますが、秋以降のワクチン接種については、これまでの接種からどれくらいの接種間隔をとるべきかはまだ示されていません。

■「いま 接種ができるなら早めの接種検討を」

厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会の分科会長も務める国立感染症研究所の脇田隆字所長は、8月10日の厚生労働省の専門家会合のあとの記者会見で「オミクロン株対応のワクチンが10月半ばから導入されても、接種がすぐに十分になされるのか、まだよく分からない部分がある。今のワクチンでも、オミクロン株に対する重症化予防効果が増加される効果はあるので、いま、3回目や4回目の接種ができるという状況があれば、早めの接種を検討いただくことは必要なのではないかと思う」と指摘しました。

■「3回目接種済ませていない人 いま使用できるワクチンを」

北里大学の中山特任教授は「現状でこれだけ感染が広がり、重症者も増えている状況なので、まだ3回目の接種を済ませていない人は、オミクロン株対応のワクチンを待つのではなく、いま使用できるワクチンを接種することを考えてほしい」と話しています。
また、アメリカのFDA=食品医薬品局が「BA.4」や「BA.5」に対応したワクチンの開発を勧告していることについて「完成までに数か月はかかるだろう。それを待つよりも、これから出てくるワクチンを接種したほうがいい」と述べました。

■「いまあるワクチン 接種できるときに接種するほうがいい」

大阪大学の宮坂招へい教授も「いまあるワクチンを、接種できるときに接種するほうがいいだろうと考える。今のワクチンはそれなりに回数を重ねれば効果が出るということは分かっている。変異ウイルスに対応したワクチン開発はいたちごっこで、いま接種できるものをしっかりと確実に接種することが大事なんだと考えている」と話しています。

■4回目ワクチンの効果は

実際に4回目のワクチン接種については、入院や死亡のリスクが下がる、効果が高いといった報告が各国から出されてきています。
イスラエルの研究グループは8月2日、医学雑誌の「JAMAネットワーク・オープン」で、医療従事者2万9000人余りを対象に4回目の接種の結果を分析した結果を報告しました。
それによりますと、ことし1月、オミクロン株が急増していた時期に5300人余りが4回目の接種を受け、その後、感染が確認された人が368人だったのに対し、3回接種した2万4000人余りでは4802人が感染していたということです。
感染した人の割合は3回接種の人では19.8%だったのに対し、4回目の接種を受けた人では6.9%と低くなっていたということです。
また、アメリカのCDC=疾病対策センターは7月、10の州を対象に「BA.2」などが広がっていた時期に、mRNAワクチンの接種回数ごとのワクチンの有効性を調べた結果を報告しました。
それによりますと、50歳以上の人で、入院を防ぐ効果は3回目の接種から120日以上たった人で55%、4回目の接種から7日以上たった人で80%だったということです。
CDCは「追加接種は適切な時期になったらすぐに受ける必要がある」としています。
日本国内では、4回目の接種を受けた医療従事者を対象に中和抗体の値を調べたデータを7月、東京都医学総合研究所が発表しています。
60代と70代を対象に分析すると、3回目の接種から4か月の時点では中和抗体の値が「855」だったのが、4回目の接種のあと「3942」まで上昇したということです。
3回目の接種のあとも平均的には高い水準を維持していますが、ばらつきが大きく、4回目の接種を受けることで全員が高い水準となったとしています。
大阪大学の宮坂招へい教授は「東京都のデータを見ると、3回目の接種を受けた多くの人は抗体が高い状態で、その状態が何か月も続いているが、個人差も非常に大きい。どの人が抗体が高く、どの人が低いのかは検査をしないと分からない状態だ。また、今の『BA.5』は抗体価が高い人でも感染する可能性はある。抗体価が低い人は当然感染のリスクはより高い。私は4回目の接種をするほうがいいだろうと思う」と述べました。
また、新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「次に流行するのはオミクロン株ではない可能性もある。大事なのは3回目の接種をしていない人、あるいは4回目の接種券が届いた人は、できるだけ早く接種することで、今の感染状況を抑える行動をとっていく必要がある」と話しています。
今のワクチンでも回数を重ねることで、重症化を防ぐ効果はあり、一定程度、感染を防ぐ効果はあると考えられています。
免疫学やウイルス学、それに感染症学の専門家は、口をそろえて、ワクチンの種類にあまりこだわらず、接種できるタイミングで接種を考えるべきだ、としています。
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