新型コロナウイルスの感染確認の発表が28日、これまでに全国で23万3094人となり、これまでで最も多かった27日のおよそ21万人を上回って過去最多となりました。
新型コロナウイルスの患者が急増する中、いま、自分や家族が感染したらどうすればよいのでしょうか。
■感染が疑われる時は
発熱などの症状が出て新型コロナウイルスに感染したかもしれないと感じたら、国や自治体は、
▽まずはかかりつけ医や地域の身近な医療機関
▽かかりつけ医がいない人や休診の場合は自治体が設けている「受診・相談センター」などに電話するよう呼びかけています。
連絡せずに医療機関を直接受診することは避けてください。
医療機関を受診する際にはマスクを着用し、公共交通機関の利用を避けて受診することが必要です。
■電話がつながらない時は
厚生労働省は、医療機関に電話がつながらない場合、24時間対応している自治体の受診・相談センターなどに問い合わせて受診先を紹介してもらうよう呼びかけています。
今のところこの相談センターは時間をかければつながらない状況ではないということです。
■高齢者や重症化リスク高い人は
高齢者や基礎疾患のあるなどで重症化リスク高い人、それに妊婦は、発熱やせきなどの症状が少しでも出た場合には早めに受診してください。
子どもについてもかかりつけの小児科医などに電話などで早めに相談することが望ましいとされています。
■若者や重症化リスク低い人は
若い世代など重症化のリスクが低い人も、原則として医療機関の受診が必要です。
ただ、各地でクリニックの発熱外来や病院の救急外来に患者が殺到し、診察や検査を受けづらい状態が相次いでいます。
このため、例えば感染が拡大している沖縄県では重症化リスクの低い若者などで症状が軽い場合、検査施設のPCR検査や薬局で販売されている抗原検査キットを活用し、救急外来はできるだけ受診しないよう呼びかけています。
また、神奈川県も重症化リスクが低い人は発熱外来を受診せず、自分で検査を行って陽性の場合は自主療養するよう勧めています。
■救急車はいつ呼ぶのか
救急に対応する医療機関がひっ迫し、一般医療にも影響が出るおそれがあることから、厚生労働省は、無症状で検査のために救急車を呼ぶようなことは控えるよう呼びかけています。
一方で東京都は「急に息苦しくなった」「もうろうとしていて返事がない」「胸の痛みがある」などの症状が出た場合は、すぐに救急車を呼ぶよう求めています。
■抗原検査キットの活用は
現在、薬局などで抗原検査キットを購入することができます。
自分で検査を行い陽性がわかった場合、東京都では「発熱相談センター」に電話して医療機関を受診するよう求めています。
一方で、神奈川県では抗原検査キットで陽性の場合、重症化リスクの低い若者などには自宅療養を勧めていて自治体によって対応が分かれています。
政府は発熱外来や薬局などで抗原検査キットを無料で配り、医師がいる自治体の窓口から健康観察を受けられる仕組み作りを進めています。
■証明書のための受診は
また、勤務先などからの要請で感染の証明書を求めて発熱外来を訪問する患者も多くいます。
このため神奈川県では、抗原検査キットなどで陽性となった場合、専用のウェブサイトで県に届け出れば医療機関や保健所などを通さず、療養中であることを証明する「自主療養届」や民間の保険請求などに使える「療養証明書」を発行できるようになっています。
また、ほかの自治体でも医療機関などに出向かずに証明書を利用できる仕組みの検討を進めています。
■【現場では】病床ひっ迫する拠点病院 救急外来で対応の状態も
新型コロナの患者の病床が各地でひっ迫する中、地域の拠点病院では入院の調整が難しくなり、救急外来で患者に待機してもらうケースも出てきています。
現場の医師は診療が遅れ症状が悪化するおそれもあるなどとして危機感を募らせています。
各地で病床使用率が上昇する中、神奈川県の使用率は70%を超えていて、川崎市の新百合ヶ丘総合病院では34床あるコロナの専用病床は満床の状態が続いています。
救急センターでは今週に入ってから患者が搬送されてきても院内だけでなく県内のほかの病院との間でも病床の調整が難しくなっていることから、本来は使わない救急外来の病床で患者に待機してもらう状態が続いています。
病院によると、今月25日には40件以上受け入れを断られ、呼吸困難の症状で搬送されてきた80代の女性が転院先が決まるまで24時間近くかかるケースがあったほか、28日朝に搬送された80代の女性も転院先が決まらず待機が続いているということです。
病院では特に高齢者は食事が取れず衰弱するおそれもあるとして、できるだけ入院してもらう対応をとっていましたが、今月初旬以降は自宅に帰宅してもらうケースも増えてきていて、持病が悪化したり肺炎を起こしたりして再入院した場合に入院が長引くことなどが懸念されているということです。
神奈川県の救急搬送についてアドバイザーを務める伊藤敏孝 救急センター長は「医療従事者の感染で人手が足りず、病床が空いていても実際には受け入れていないためベッドの争奪戦が起きている。救急外来での対応は第6波でもなかったことだ」と危機感を募らせています。
そのうえで伊藤センター長は「若くて軽症の人がどこに電話していいか分からず救急車を呼ぶことで救急外来に運ばれるコロナの患者が増えているが、重症化のリスクがある人の診療が遅れてしまうので、軽症の人は少し待って様子を見てほしい。急に息苦しさや胸の痛みを感じるなどした場合にはすぐに救急車を呼んでほしい」と話していました。
■対応に追われる薬局 飲み薬の配送など約5倍に急増
新型コロナウイルスの感染の急拡大を受けて、東京都内の薬局では自宅で療養する患者に対する飲み薬の配送などの件数が2週間でおよそ5倍に急増し、対応に追われています。
東京・新宿区の薬局では今月中旬以降、自宅で療養するコロナ患者への対応が増えていて、飲み薬の「ラゲブリオ」と「パキロビッドパック」の1日の配送などの件数はグループ全体で今月22日までの2週間でおよそ5倍に急増しているということです。
薬剤師は医師から処方箋が届くと患者に電話をかけ、薬の飲み方などを説明する服薬指導を行ったうえで薬をこん包して配送する作業に追われていました。
患者の増加に伴って薬を届ける宅配業者も対応が追いつかず、その日のうちに薬を届けるため、スタッフが直接患者の自宅に出向くケースも出ているということです。
アイン薬局の薬剤師、宮 義史さんは「自宅療養の人には電話やオンラインで説明して薬を配送するので、窓口に来てもらう時に比べて手間や時間もかかり、業務もひっ迫しつつあります。処方箋が届いたらその日のうちに患者が薬を飲めるようなんとか対応したい」と話していました。
■窓口業務を休止する郵便局 全国で154か所に
全国の郵便局では、従業員が感染するなどして窓口業務を休止するケースが相次いでいます。
日本郵便によりますと、従業員が感染したり濃厚接触者になったりした影響で窓口業務を休止している郵便局は、27日時点で全国で154か所にのぼっています。
このうち、東京・豊島区の「豊島長崎一郵便局」では従業員2人の感染が確認され、今月25日から窓口業務を休止しています。
郵便局には窓口が閉まっているのを知らずに荷物の発送などのために訪れる人もいて、休止を知らせる貼り紙を確認すると、残念そうに引き返していました。
50代の女性は「窓口で切手を購入しようと思っていましたがこういう状況なのでしかたないと思います。コンビニで買います」と話していました。
40代の女性は「書留を送るために来ましたがほかの郵便局を探したいと思います」と話していました。
日本郵便によりますと、郵便局によっては窓口業務とATMの両方を休止しているところも多く、詳しい状況についてはホームページで確認してほしいとしています。
一方、郵便物やゆうパックなどの配達業務に影響は出ていないということです。
日本郵便広報室の村田秀男 部長は「これまでは感染者が出たら、別の郵便局から応援を送るなどして業務を続けていたが、それも難しい状況となり休止せざるをえない状況になり申し訳なく思っています。今後、ほかの郵便局とも連携してなるべく休止しないように運営していきたい」と話していました。