2022/05/19【サル痘ウイルス】イギリス保健当局、「サル痘」を緊急調査…スペイン、ポルトガル、アメリカでも感染例 /イギリス、スペイン、ポルトガル、アメリカ

・イギリスでは、膿を伴う腫れを引き起こす感染症「サル痘」の緊急調査が行われている。
・2022年5月15日に4人の感染者が確認されたが、海外旅行との関連はないとイギリスの保健当局は発表した。
・イギリス健康安全保障庁のチーフ・メディカル・アドバイザーであるスーザン・ホプキンスは、サル痘の蔓延は「異常」だと述べている。
2022年5月15日、イギリス国内で新たに4人のサル痘(monkeypox)の感染者が確認された。イギリスの保健当局によると、その症例について 「緊急調査」 が行われているという。
2022年5月6日から15日の間に、イギリスで合計7人がサル痘に感染したと診断された。最初の症例が5月7日に発表された後、14日にも初めの感染者とは関連のない2人の感染者が確認された。
今回の4例もこれまでに確認された感染者との関連は不明だ。イギリス健康安全保障庁(UKHSA)によると、、感染者のウイルスは、中央アフリカ・クレードと比較すると軽症だという西アフリカ・クレードが確認された。
サル痘はまれにではあるが死に至る可能性のある病気だ。インフルエンザに似た症状や、全身を覆う膿のある腫れを引き起こすこともある。この病気は、密接に人と接触しない限り、簡単に広がることはない。感染者は通常、この病気が最も多い西アフリカなどの地域に渡航したことがある人たちだ。
UKHSAは、4人の新たな感染者は、サル痘が流行している国への渡航経験がないと述べている。
UKHSAのチーフ・メディカル・アドバイザー、スーザン・ホプキンス(Susan Hopkins)は、サル痘の「密接な接触によって広がる」市中感染が存在する可能性を示唆していると声明の中で述べている。
「これはまれで、異常なことだ」
UKHSAは、新たに発生した4人のサル痘感染者の全員は自らゲイ、バイセクシャル、または男性とセックスする男性と認めていることから、感染経路は性的接触の可能性が高いと見て調査を進めている。
「このウイルスは濃厚な接触によって広がるため、体のどこか、特に性器に異常な発疹や病変がある場合には注意し、心配な場合は医療機関に連絡するようにアドバイスしている」とUKHSAは述べている。
さらにUKHSAは、「彼らがどこでどのように感染したのかについては、さらなる関連性の有無も含め、緊急に調査する必要がある」としている。
しかし、このウイルスは性的接触によって感染することはないと考えられている。
2022年5月17日、ロンドン大学の衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene & Tropical Medicine)で国際公衆衛生学の教授を務めるジミー・ウィットワース(Jimmy Whitworth)は、サイエンス・メディア・センター(Science Media Center)で次のように述べた。
「この集団感染の原因として最も可能性が高いのは、皮膚や寝具に触れたり、食器を共有したりといった密接な接触だ。性器や口腔の分泌物を介した実際の性感染を想定する必要はない」

■サル痘は死に至る病気なのか

世界保健機関(WHO)によると、サル痘と診断されて死亡する人の割合はかかったウイルスの種類によって違い、1%から10%だという。
2022年5月17日、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)のウイルス学主任のマイケル・スキナー博士(Dr. Michael Skinner)は、イギリスのサル痘のほとんどの症例は、致死率の低い種類の株である可能性が高いとサイエンス・メディア・センターに述べた。
「一般市民は心配する必要はないが、医師や公衆衛生当局は、早期発見によって感染拡大を抑えるために警戒する必要がある」とスキナー博士は話している。
WHOは2022年5月15日、イギリスやナイジェリアへの貿易や渡航の制限は必要ないと発表している。
アメリカでもマサチューセッツ州で今年最初のサル痘の症例が確認された。5月上旬以降、イギリスに加えて、ポルトガルとスペインでもクラスターが報告されている。
2021年には、テキサス州とメリーランド州でそれぞれサル痘の患者が報告され、いずれもウイルスが流行しているナイジェリアへの渡航と関係があるとされていた。
「未知の感染経路が存在するようであれば、警戒態勢に入るしかない。イギリス国外に広がっている可能性もあるだろう」とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のジェニファー・マッキストン(Jennifer McQuiston)は、イギリス以外の国での症例が発表される前に語っていた。
「我々は、これが一般的に考えられているサル痘とはまったく異なるものであることを懸念している」
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