2022/03/25【新型コロナウイルス:COVID-19】韓国で「コロナ感染」したらわかった「韓国コロナ対策」のおかしな実態 /韓国

韓国で「コロナ感染」した
新型コロナ・オミクロン株の猛威が止まる気配を見せない韓国。
ついに3月2日には一日の新規感染者数が21万9,000人というかつてないものとなった。
しかし、かつてのような新型コロナに対する不安や恐怖感はいまや薄れ、「そろそろ新型コロナに対する認識を変えていくべき」という意見も出始めている。
そんな中、筆者も家族がオミクロン感染するという事態に遭遇することとなった。
あくまで我が家の例として今回のオミクロン感染の症状について述べると、発端は高校生の長男が起きたてに喉の痛みを訴えて来たことにあった。
これまでのオミクロンの特徴に「喉の痛みを感じた」というものが多く聞かれていたことから「これはもしかして」という直感があった。喉が痛い以外には、少し体が怠く食欲がないという感じで発熱や咳も見られなかった。
そこで、筆者は長男を部屋から出ないようにさせ、抗原検査のキットを買うべく急いで外に出た。

■待ち時間は「1時間以上」…

現在、韓国ではこれまでのように誰でも受けたい時に無料のPCR検査が受けられるという体制から変更がなされているため、感染が疑われる場合は、まず「抗原検査」をしなくてはならない。
そして、抗原検査で陽性が出た場合、保健所でのPCR検査を受けることができるという手順である。
保健所でも抗原検査を受けることは可能であるが、待ち時間などの手間が負担であるという理由から検査用キットを購入し、自分で行うことが多い。
抗原検査をめぐっては3月の新学期以降は児童・生徒の登校にあたり自宅での抗原検査を行うこと義務付け、各家庭に検査用キットを配布する計画が発表されたりしていたために、キットの品薄状態が懸念されていたものの、薬局のみならず、コンビニでの購入も可能な上、耳鼻科などの医院では検査キット購入費よりも安く検査ができる。
こうして、近所のコンビニで購入した検査キットで検査をさせたのであった。
結局、検査キットが陽性反応を示したため、翌日の朝一で居住地管轄の保健所が設けている臨時検査所に向かうものの、既にすごい人の数で長蛇の列ができていた。
保健所や臨時検査所の混雑具合を示す案内表示をスマホから確認することもできるが、検査対象に条件をつけているにもかかわらずどこもかしこも軒並み1時間以上の待ち時間となっている。

■非合理で、キリがない

長男の検査結果はやはり陽性であることが伝えられ、翌日には検査を受けるべく長男以外全員で保健所に向かったものの、やはり、この日も朝から長蛇の列であった上に、日曜日であり時間の関係上、人数制限として番号札が配布され筆者一家は惜しくも午後の検査に回された。
二度手間になるものの、時間をつぶしてから再び保健所に向かい検査を受ける。
しかし、午後から検査を受けようとやって来た人の中には人数制限がされていることを知らず、検査が受けられないとわかると保健所の職員に詰め寄ったり、質問攻めにする人も多く、検査場はカオスな雰囲気であった。
そして、長男以外のPCR検査の結果はすべて陰性でホッとしたものの、やはり、筆者の周りでは「家族の一人が感染すると、症状が軽くても次々と感染した」、「家族全員が結局感染してしまいトータルで2週間以上の隔離となってキツかった」という事例も多い。
筆者の場合は、長男が高校生で自室があり、そこにこもれる状態であることも家庭内感染を何とか防げていると考えられるが、やはり、小さい子どもがいる家庭や家族の人数が多いほど、家庭内での隔離と感染拡大を防止するのは困難とも言える。
その反面、症状が軽いケースが多いことを鑑みれば、やはり隔離をいつまでも行うことは非合理的であり、キリがないとも感じ、新型コロナに対する方向転換をすべき時期ではないかと思うのであった。

■「K防疫」はもはや忘却の彼方へ

そんな筆者は過去に2回、「海外からの入国者」として2週間の自宅隔離を経験している。
その時期は非常に管理が徹底していて、スマホにダウンロードされた隔離管理のアプリは居住地域の区の担当者と共有、毎日朝夕の健康状態のチェックやGPSで位置情報が示され、状況に応じて担当者からの電話も来るようになっている。
また、2週間の隔離生活のための食料などの物資も保健所から届けられる。これは、海外から入国した隔離者に限らず、感染者や濃厚接触者にも同様の対応が取られていた。
しかし、新規感染者数が一日20万人前後を記録している現在では、保健所も自治体もキャパシティを大幅に超え、物資配給や、アプリの管理といった細やかな対応は事実上なくなっている。
筆者の場合も、長男の感染が確定した日に保健所から電話とメールを受けたが、隔離期間の案内と注意事項のみであった。ただ、同居家族は感染が確認されなければ自由に行動できるようになった点は助かったと言える。
こうした感染者やそれに準じた濃厚接触者への対応に緩和が見られる他、クラスター発生が多いとされる保育園や幼稚園、学校も「それぞれの判断に任せる」としながらも登校に踏み切るところが多く見られる。

■「ワクチンパス」のいま

また、これまで、飲食店を初めスーパーやデパートなどの商業施設や、映画館やクラブの遊興施設において、入場の際に「安心コール」と呼ばれる保健所への電話が義務付けらていた他、ワクチン接種者はQRコードをスキャンして接種済を証明する「ワクチンパス」の運用が行われていた。
しかし、「安心コール」については、新規感染者が止まらない中で、感染者一人ひとりの動線を追うことはもはや不可能、無意味であるとされ廃止となった。
また、「ワクチンパス」についてはワクチン未接種者は出入りが不可とされ「カフェでのコーヒー一杯も、スーパーでの買い物もできず、社会から締め出すのか」という批判が根強くあったこと、接種済の者からも「『自由に行動したければ言われたとおりに接種をしろ』という無言の圧力ではないか。そもそもワクチンは強制されるものではないのにおかしい」という反発も多かった。
当初、この「ワクチンパス」をめぐる動きは当初、韓国中部の慶尚北道(キョンサンボクド)知事が、法院に撤回を求める訴えを起こし、慶尚北道と隣接する大邱市で運用の停止が決まった。そして、結果的に様々な規制の緩和に併せて韓国全土での「ワクチンパス」の運用停止も認められたという流れである。
慶尚北道や大邱と言えば、保守的な地域でもあり、あの朴槿恵前大統領のお膝元でもある。それ故に、現政府や「K防疫」に対する反感が矛盾もあったのではないかと思われる。

■再び規制に逆戻りも…?

こうした規制の緩和に「やっと日常生活への方向転換か」という期待も見られる中、3月9日の大統領選挙を見据えての政府の対策であるという声も聞かれていたが、いまや、肝心なのは次期大統領がどのように対応していくかになっている。
文在寅氏はこの2年間のコロナ禍で様々な対策を行ってきたものの、前述のように「K防疫」は現在では無意味なものとなっている。また、これまで様々な場において制限を強いられてきた国民の不満を見れば、密になるような状況で選挙運動を続けていたことにも矛盾を感じる。
2年にわたる様々な制限は結果的に経済と教育にダメージを与えたと考える。
経済という面では、自営業者で飲食店などを中心に度重なる営業制限が続けられ、人員を削減しながら店主が一人で店を切り盛りする姿を多く目にした。しかし、それでもこの苦境を乗り切れず、廃業を余儀なくされるケースも多い。
また、教育面においては学生にとって貴重とされる1年ならず2年もの間、長期に及ぶ登校の制限が行われたこと、修学旅行や、学芸会といった学校行事も全面的に中止されるなど学校生活が奪われてしまったことへの喪失感は重大であると言える。
こうした点を踏まえて、今後のコロナ対策を日常生活へと方向転換していくのであれば、国民の顔色をうかがってただ規制を全面的に緩和するというだけなく、文在寅氏が行ってきた「K防疫」は何が「成功」し、何が「失敗」であったのかを時期政権は今一度検証し、今後につなげていく必要性があるものと感じられる。
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