2022/01/31【新型コロナウイルス:COVID-19】入院時の抗原定量検査すり抜け 院内でコロナ感染拡大 奈良の病院 /奈良県

入院時の新型コロナウイルス感染の有無を調べる検査で「陰性」だった患者が、実際は新型コロナに感染しており、病院内で看護師や医師に感染が広がった――。こんな事案が1月、奈良県内の病院で起きていたことが、病院関係者への取材で分かった。検査はPCR検査(遺伝子検査)とほぼ同等の精度があるとされる抗原定量検査だった。
患者は高齢者で、1月22日に新型コロナとは別の疾患で救急外来を受診し、緊急入院した。マスクも付けられない状態だったという。病院は院内感染防止のため、入院患者全員に新型コロナ感染の有無を調べる検査を実施している。この患者にも抗原定量検査をしたが、結果は「陰性」だった。そこで、看護師らは個人防護具を着けずに対応した。
ところが24日、県外の保健所から、この患者が利用していた介護施設で21日に感染者が確認され、患者も感染している疑いがあるとの連絡が入った。病院が急きょ患者にPCR検査を実施したところ、「陽性」と判明。すぐに患者を感染対応病棟に移した。
病院は、この患者と接触があった看護師や医師などに検査を実施。25~28日に看護師と医師の計9人の感染が判明した。病院関係者は取材に「(新型コロナと別の疾患で)入院が事前に分かっている患者には前日にPCR検査を実施し、緊急入院患者には抗原定量検査をしている」と説明。「今回のように検査を『すり抜け』て感染が広がったケースは初めてだ」と話した。
病院では今回の事案を受け、当面は検査で「陰性」となった患者に対しても、看護師らの個人防護具着用を徹底して処置にあたっているという。
県医師会の安東範明会長は「簡易な抗原定性検査では『偽陰性』となることがあるが、確度の高い抗原定量検査やPCR検査でも、わずかだが起こりうる。今回は残念ながら、そのケースなのではないか」と話した。
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