2021/12/29【新型コロナウイルス:COVID-19】新型コロナの新規感染、世界で最高に 死者数は横ばい

世界で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、28日の新規感染者数は7日間の移動平均で1カ月前に比べて6割増の約93万人となり、過去最高となった。一方、死者数は横ばいで、新型コロナワクチンの接種といった対策をとれば重症化する割合が低い傾向も鮮明となった。
前回の世界の感染のピークは4月下旬の約82万人だった。
27日だけでみると、世界の新規感染者数は1カ月前の3倍強の約144万9000人と急増した。新型コロナウイルスが変異した「オミクロン型」の感染が増えているためだ。同型は従来の「デルタ型」などに比べウイルスの増殖の速さが70倍以上との香港大学の研究もある。
一方、世界の新規死者数の7日間の移動平均は約6400人で、1カ月前に比べて約8%減った。「オミクロン型」は、肺では比較的ウイルスが増えにくいとする香港大学の研究もあるほか、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究によると「デルタ型」に比べて入院リスクが40~45%低いといった特性がある。新型コロナワクチンの3回目の接種(ブースター)が有効とされ、欧米などではブースター接種も始まった。
新規感染が特に拡大しているのは欧米で、米国での1日あたりの新規感染者数は約51万3000人で最多となった。
米疾病対策センター(CDC)は28日、12月19~25日の米国の新規感染者に占めるオミクロン型の割合は58.6%、デルタ型は41.1%との推計を公表した。米国でオミクロン型が確認されたのは12月1日で、1カ月足らずで急速に広がった。バイデン大統領は27日、対策チームや州知事らと協議し、新型コロナの検査体制を強化する方針を示した。
欧州でも感染が拡大しており、英国では連日10万人以上の感染者を記録している。ジョンソン政権はクリスマス関連のイベントを禁止しなかったが、英BBCによると、規制強化を検討している。ギリシャでは28日、過去最多となる2万1000人の新規感染者を確認し、前日から倍増した。
重症化のリスクが低いとはいえ、感染が拡大すれば病床の逼迫や医療現場などの人手不足につながるため、各国は感染予防対策を強化している。
英オックスフォード大学の研究者らが運営するデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」によると、米国の新型コロナの入院患者は7日間の移動平均で1カ月前に比べ4割増えて約6万7000人となった。
まだ21年1月のピークの半分の水準だが、オハイオ州のデワイン州知事は27日、新規感染者数よりも入院患者数に注目していると語った。同州では5000人以上が入院していると報じられており、上昇傾向だ。うち9割超がワクチンを未接種だったという。
米国の大学は22年1月からの春学期の開始日を延期する動きも相次いでいる。ニューヨーク州のシラキュース大学は1週間ずらして1月24日とした。首都ワシントンのハワード大学やヒューストンのライス大学も延期を決めたほか、ニューヨーク大学は1月の授業を対面からオンラインに切り替えた。
欧州ではフランスのカステックス首相は28日、集中治療にあたる看護師に対して1月から月100ユーロの手当を支給すると表明。新規感染者数が過去最悪の水準で、医療スタッフの不足が懸念されている。
これに先立ち27日からは屋内の集会の人数を2000人、屋外では5000人までに限るなどの対策も打ち出した。カステックス氏はコロナ関連の規制について「終わりのない映画のようにみえるとは思う」と述べ、ワクチンの接種を促した。
フィンランドは28日から、域内の移動の自由を保障する「シェンゲン協定」加盟国からの入国者に対して、国境での審査を復活させた。1月16日まで継続する。外国人の入国にはワクチン接種証明に加え、PCR検査などの陰性証明書も求める。
医療や交通機関などで人手不足が深刻になっているため、感染後の隔離期間を短縮する動きも浮上している。ギリシャでは無症状の人の隔離期間を10日から5日間に短縮する方向で検討中している。米国のCDCも27日、隔離の推奨期間を5日に短縮した。新型コロナワクチンの普及や比較的症状が軽いとされるオミクロン型の特性を考慮し、経済を正常に回すための現実的な方策を探っている。
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