2021/06/08【新型コロナウイルス:COVID-19】エアロゾル感染警戒を 冷房つけても換気を徹底 浮遊し飛沫より遠くに到達


これまで飛沫(ひまつ)感染に対する警戒が強く訴えられてきた新型コロナウイルス。しかし、米国の疾病対策センター(CDC)などは四月以降、感染者の口や鼻から出て空気中に浮遊するウイルスを含んだ微粒子「エアロゾル」を介した感染への注意を呼び掛けている。夏に向け密閉空間でエアコンを使う機会が増える中、専門家は「より換気を徹底し、エアロゾルを屋外へ押し出すことが大事」と言う。 (細川暁子、植木創太)
感染者の口や鼻からは、ウイルスを含む液体の微粒子が呼気などを通じて絶えず出ており、そのサイズはさまざまだ。せきやくしゃみで飛び散る飛沫は大きく重いため、重力によっておよそ三メートル以内に落下。周囲と距離を取り、せきエチケットやマスク着用などを徹底すれば、感染を広げるリスクは大きく下がる。
一方でエアロゾルは小さい上に軽く、空気中に漂って飛沫より遠くまで到達。それを吸い込んで起きるのがエアロゾル感染だ。粒子の水分が奪われやすい湿度の低い状態や、空気の出入りがない密閉空間では空中にとどまる時間も延びる。距離を取っても、またマスクをしていても脇から漏れ出るなどして感染が拡大する可能性がある。
世界保健機関(WHO)は四月下旬、風通しが悪い場所などでのエアロゾル感染の可能性に言及。CDCは五月上旬、それより踏み込み、換気が不十分な場合や歌ったり運動したりして呼吸量が増えた場合は、二メートル以上離れても感染のリスクがあると警戒を促した。
国内でもエアロゾルが原因と考えられる感染は、各地で発生している。岐阜県感染症対策専門家会議メンバーで岐阜大名誉教授の村上啓雄さん(63)が挙げるのは、この冬、中部地方の病院の大部屋で起きた例だ。
高濃度の酸素を大量に投与する療法を受けていた入院患者から、他の患者に次々に感染した。ベッド同士は数メートル離れており、飛沫感染は考えにくい。感染者から排出されたウイルスを含むエアロゾルが広がった可能性があるという。
厚生労働省は四月、複数の病院クラスター(感染者集団)にエアロゾル感染が関係している可能性を指摘。都道府県などに対し、換気設備の点検などを求める通知を出した。
感染制御学が専門で愛知県立大看護学部教授の清水宣明さん(61)によると、国内で猛威を振るう英国由来の変異株の感染力は従来株の最大一・七倍。その分、「ウイルスの生産工場」となる感染細胞も急速に増え、数日で従来株の数百〜数千倍に達する可能性がある。つまり、変異株が主体になると、感染者から出るウイルスを含んだエアロゾルの量も大幅に増える。
大事なのは、エアロゾルの濃度を薄め、さらには追い出すこと。エアコンを使う夏は窓を閉め切りがちだが、換気を心掛けたい。複数の窓や扉を常に十五センチ程度開けて空気の通り道をつくり、扇風機などで屋外へ出すことが必要。線香などをたき、煙の動き方を見れば空気の流れが分かる。「マスクは感染防止効果が高い不織布製が望ましい。脇から空気が漏れないよう顔に密着させて」と訴える。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/109267

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