2020/05/23【新型コロナウイルス:COVID-19】新型コロナの死者ゼロ 厳格な対策で感染抑制 /ベトナム

世界各地で新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、べトナムでは厳格な対策を講じた結果、感染者数は324人と感染は抑制されています。ベトナムのフック首相は、こうした成果を積極的にアピールし、海外からの投資や観光客を呼び込むことで、打撃を受けた経済の立て直しを加速させたい考えです。
ベトナムは感染拡大を防ぐため、水際対策の強化や隔離の徹底、さらに経済活動の制限など、厳格な対策を打ち出しました。
これまでの感染者は324人にとどまり、政府は、先月中旬以降、順次、制限の緩和に踏み切っています。
対策の指揮をとってきた、ベトナムのグエン・スアン・フック首相は21日、NHKなど一部の海外メディアのインタビューに応じ、「経済的な損害ばかりを気にして、国民の健康をないがしろにするのではなく、国民の命を守ることを最優先した」と強調し、厳格な対策が感染の抑制につながっているという認識を示しました。
一方、打撃を受けた経済への対応について、フック首相は「感染を抑え込むことが、海外の投資家や観光客がベトナムに来る前提になる」と述べ、抑制の成果を積極的にアピールし、海外からの投資や観光客を呼び込むことで、立て直しを加速させる考えを示しました。
あわせて企業に対する減税や契約上の優遇といった投資環境を整備し、政府として企業活動の支援を強化していく方針を明らかにしました。

「経済よりも国民の命を優先する」

ベトナム政府は「経済よりも国民の命を優先する」として、これまで厳格な対策を相次いで打ち出してきました。
国内で初めての感染者が確認されたことし1月下旬以降、ベトナム政府は感染者とその接触者を隔離するとともに、2月上旬には過去14日間に中国に滞在歴のある外国人の入国を禁止しました。
3月には外国からの帰国者を中心に感染が広がりはじめたことを受け、入国者全員に隔離を実施したほか、外国人の入国を禁止するなど、水際対策を強化しました。また、クラスター=集団感染が発生した地区では、住民が自由に行き来できないよう、地区の入り口をフェンスで封鎖するなど、行動制限も実施しました。
政府によりますと、隔離の対象となった住民や外国人は、延べ100万人近くに上るということです。
その後も感染者が増え続けたため、政府は先月1日からは、不要不急の外出を制限したり、スーパーや薬局以外の店舗の営業を停止したりするなど、より厳しい措置に踏み切りました。
政府の厳格な対策により、これまでのところ、ベトナムでは感染者の数が324人と、フィリピンやインドネシアなど依然として感染拡大が続く、ほかの東南アジアの国々と比べて極めて少なくなっています。また、1人の死者も出ていません。
こうしたことから、政府は先月中旬以降、制限措置の緩和を進め、首都ハノイや南部のホーチミンといった都市部でもデパートや学校、それにバスや鉄道などの公共交通機関が再開しています。
さらに23日からは、サッカーの国内リーグで、これまで認められていなかった観客を入れての試合が許可され、22日は試合のチケットを求めて大勢のファンが売り場に押し寄せる姿も見られました。

“迅速な検査体制”と“徹底した隔離措置”

首都ハノイで長年、現地の研究機関と感染症に関する共同研究を行っている、長崎大学熱帯医学研究所ベトナム拠点の長谷部太教授は、ベトナム政府の対応について、「感染爆発が起きる前に厳格な対策を講じて、市中感染を抑え込んだ。対策は非常にうまくいった」と評価しています。
長谷部教授はその主な要因として、迅速な検査体制の確立と徹底した隔離措置を挙げています。
このうち検査体制の確立については、SARSや鳥インフルエンザなど、過去の感染症への対応の中で、日本をはじめ海外の専門家チームから得られた知識や技術を着実に蓄積してきたことが、今回の対応において大いに役立っていると指摘しています。
長谷部教授は「ベトナムには特別な検査キットや治療薬はないが、政府はやるべきことを早い段階で決断し、実行に移した」と述べ、検査や隔離など基本的な対応を迅速に実施したことが、感染拡大の抑制につながったという見方を示しました。
加えて、ベトナムがある程度の強制力を背景に、国民の行動を制限できる政治体制であることや、感染症を正しくおそれ、政府の対策に従って行動した国民性も大きく寄与したと指摘しています。
一方、今後の状況については、「これまでのところ、感染の抑制に成功しているが、そもそもの医療水準が高くないことから、一定の感染者が入り込めば対応は難しくなる」と述べ、警戒を続ける必要性を訴えています。
https://www3.nhk.or.jp/…/20200523/k10012442531000.html

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