2020/05/12【新型コロナウイルス:COVID-19】新型コロナ 短時間で調べられる「抗原検査」13日承認へ 厚労省

新型コロナウイルスへの感染を短い時間で調べることができる「抗原検査」について、厚生労働省は13日承認することになりました。当面は、感染者が多い地域の専門外来などを中心に使われる見通しです。
「抗原検査」は、新型コロナウイルスに感染しているかを調べる簡易検査で、インフルエンザの検査のように、鼻の奥を拭った検体を含む液をキットにたらして線が浮かび上がるかを確認します。現在行われている「PCR検査」と違い、特別な技術は必要なく、30分ほどで結果が得られます。
厚生労働省は、この「抗原検査」の検査キットを13日承認することになり、承認後、保険適用のうえ、速やかに実用化する方針です。
検査の際に感染リスクがあることから、すでにPCR検査を行っていて十分な感染防止対策がとられている医療機関で実施する見通しで、インフルエンザの検査のように一般の診療所で広く受けられるわけではありません。
厚生労働省の関係者によりますと、当面は東京、神奈川、大阪、北海道など感染の多い地域の「帰国者・接触者外来」などを中心に使用されるということです。
また、PCR検査に比べて精度が低く、感染している人でも陽性とならない場合もあるということです。このため、抗原検査で陽性となった人はその時点で検査結果を確定できますが、陰性となった人は再度PCR検査を行う方針です。
厚生労働省は、検査の方法や対象者などについてガイドラインを13日にも示すことにしています。
検査キットを製造する「富士レビオ」によりますと、1週間で20万個のキットを供給できるということです。
「抗原検査」とは
「抗原検査」はウイルスに含まれる特徴的な物質を調べる検査で、インフルエンザの迅速診断キットなどとしても使われています。
「抗原」とは「抗体」が反応する目印となる物質のことです。
抗体を使った検査キットに鼻の奥のぬぐい液などの検体を入れ、新型コロナウイルスに特徴的な物質が含まれていると、この物質が「抗原」となって反応が現れるため、抗原検査と呼ばれています。
遺伝子を増幅して検出するPCR検査などと違って特別な機器は必要ないため、検体をとってその場で検査ができ、結果は30分程度で分かります。
ただ、PCR検査に比べて感度は低く、十分な「抗原」が含まれていないと感染していても陰性となることがあります。
今回、承認される抗原検査のキットでPCR検査で陽性となった、国内の検体24例を調べたところ、陽性となったのは16例だったということで、ウイルスの量が多い検体ほど、精度が高くなる傾向がみられたということです。
このため陰性の結果が出た場合は、より感度の高いPCR検査などと合わせて確認する必要があるということです。
一方で、抗原検査で陽性となり、せきや発熱などの症状があれば、PCR検査をしなくても医師が確定診断に活用できるということです。
日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「抗原検査が普及すればPCRの検査能力の問題が一気に解消され、より多くの場所で素早く検査ができるようになるはずだ。今よりも格段に患者が見つかりやすくなるため、治療や隔離などの対応が取りやすくなる。今は感度の問題などはあるが、検査精度の研究が臨床現場などで進めば、新型コロナウイルスをめぐる現状を一変させることも期待できる」と話しています。
PCR検査の現状
厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスのPCR検査について1日に実施できる件数は、今月9日の時点で1万7614件となっています。
内訳は
▽国立感染症研究所が800件、
▽検疫所が2300件、
▽保健所などが5146件、
▽民間の検査会社が6703件、
▽大学などが1639件、
▽医療機関が1026件となっています。
ただ、これはPCR検査を実施できる能力を示す数で、実際に検査した件数とは異なります。
実際に行った検査の件数は最大でも1日当たり9300件余りと、これまで1万件を超えた日はなく、速報値がまとまっている中で最も新しい今月6日では4281件にとどまっています。
抗原検査の精度
抗原検査は、体内で免疫反応を引き起こすウイルス特有の物質「抗原」の有無を調べるものです。
今回の検査キットは特有の抗原に反応するため、結果が陽性なら、感染していると判断できます。
その一方で、体内のウイルス量が少ない場合はこの抗原も少ないため反応せず、感染していても陽性とならないことがあります。
厚生労働省によりますと、これまでの試験では、症状があるなど体内に一定以上のウイルス量がある患者の場合、PCR検査で陽性となる人の8割から9割が「抗原検査」でも陽性となったということです。
厚生労働省は「PCR検査と比べて感度は低いものの、一定の症状があれば非常に早く感染者を見つけることができ、検査体制の効率化につながる」としています。
今回の検査キットの承認にあたっては、感染者でも陰性となってしまう可能性があると添付文書に記すことや、陰性になった人にはPCR検査の実施を検討することが条件となっています。
検査費用は公費負担で調整
厚生労働省は「抗原検査」を受ける際の費用負担についても調整を進めています。「抗原検査」は13日に承認された後、中医協=中央社会保険医療協議会の審議を経て、保険適用となる見通しです。
さらに、13日に行われるほかの審議も踏まえたうえで、厚生労働省は、検査対象などのガイドラインを示すことにしています。
感染の疑いがあり検査の必要があると医師が判断して「抗原検査」を行った場合は、PCR検査と同じく公費負担となり、患者の自己負担は生じない見通しです。
https://www3.nhk.or.jp/…/20200512/k10012426211000.html

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