2019/05/18【ペット】子犬のワクチン接種について!種類や値段、気をつける病気

子犬のワクチン接種について
ワクチン接種は、細菌やウイルスによる感染症を予防し、重症化させないために必要な手段です。効果が持続する期間はワクチンの種類によって異なり、飼育環境や個体差にも影響されます。病気の中には人間にも感染し、発症すると100パーセント死亡するとされる恐ろしいものもあるため、日本では子犬の頃からワクチン接種をすることが推奨されています。犬や飼い主の健康と命を守るためにも、定期的にワクチンを接種して病気を予防しましょう。
子犬のワクチン接種の種類
狂犬病ワクチン
狂犬病は発症してしまうと有効な治療法がなく、必ず死に至る病気です。そのため、飼い主には生後91日以上の子犬を市区町村に登録することと、狂犬病ワクチンを接種させることが法律で義務づけられています。
飼い犬を登録すると市区町村から「鑑札」が交付され、動物病院や集団注射会場で狂犬病ワクチンを接種すると「注射済票」が交付されます。これらの標識はきちんとワクチンを受けたという証明になるため、首輪などを利用して飼い犬に着けておかなければならないという決まりがあります。
混合ワクチン
2種混合ワクチン
5種混合ワクチン
6種混合ワクチン
8種混合ワクチン
9種混合ワクチン
混合ワクチンは任意で接種するもので、予防する病気の数によってワクチンの種類が異なります。
例えば、「2種混合ワクチン」は「犬ジステンバー」と「犬パルボウイルス感染症」の2種類の病気を予防するワクチンで、「5種混合ワクチン」には「犬伝染性肝炎(犬アデノウィルス1型感染症)」「犬伝染性喉頭気管炎(犬アデノウィルス2型感染症)」「犬パラインフルエンザウイルス感染症」の3種類の病気を予防するワクチンが追加されています。
子犬の健康状態や体重、飼育環境などによって控えた方がよい種類のワクチンもあるので、どのワクチンを接種させるのかは獣医とよく相談した上で決めるとよいでしょう。
子犬のワクチン接種の注意点
子犬にワクチンを接種する時期
生後2カ月目
生後3カ月目
生後91日以降
生後4、5カ月目
1歳~
狂犬病ワクチンは生後91日以降できるだけ早く接種させることが義務づけられており、その後は1年に1回のワクチン接種で免疫を補強させていきます。
子犬に混合ワクチンを接種する時期は、母犬からもらった免疫が切れる生後2カ月からと言われています。30日程度の間隔をあけて3回注射をし、1歳以降は1年に1回追加接種するのが一般的です。体質や副作用などの関係から回数や時期が変わることもあるので、いつから開始するのかやスケジュールは獣医と相談しながら決めていきましょう。
初回接種、追加接種ともに、狂犬病ワクチンと混合ワクチンの同時接種は行わないとされています。また、4~6月は「狂犬病予防注射月間」となっており、市区町村が行う集合注射で狂犬病ワクチンを接種することも可能です。
ワクチン接種を控えた方がよい場合
元気がない
嘔吐や下痢の症状がある
発情や妊娠をしている
病気の治療中である
季節性のアレルギーがある
寄生虫に感染している
子犬が上記のような状態のときはワクチンによって症状が悪化したり健康上の問題を引き起こしたりする可能性があるため、接種時期をずらすようにしましょう。また、過去にアナフィラキシーショックを起こしたことがある場合は同じワクチンを打たないようにする必要があります。
ワクチン接種による副作用
目や口の周りが腫れる
蕁麻疹が出る
発熱する
嘔吐や下痢をする
元気がない
接種部分が腫れる、しこりができる
ぐったりしている
苦しそうに呼吸をしている
ワクチン接種によって上記のような副作用を起こす子犬もいます。副作用は小型犬の発生率が高く、中でもミニチュアダックスフンドが多いとされているので、これらの犬種を飼っている場合は接種後注意深く様子を観察するようにしましょう。
皮膚や消化器官の症状は接種後数時間~半日経ってから現れることが多く、アナフィラキシーショックにより呼吸困難などの症状が出た場合はすぐに治療をしないと命に関わります。副作用が出た場合でもすぐに対応しやすいよう、ワクチンの接種は午前中に行うとよいでしょう。
ワクチン接種後の運動や散歩
子犬にワクチンを接種した後1~3日は、激しい運動や散歩、長時間の移動、シャンプーを行わず、安静に過ごしてください。また、ワクチンの予防効果(免疫の定着)が得られるまでの約2週間は、他の動物との接触を控えましょう。
子犬のワクチン接種の値段
ワクチンの種類 価格の目安
狂犬病ワクチン 1回あたり3,000円程度
2~3種混合ワクチン 1回あたり5,000~6,000円
5~6種混合ワクチン 1回あたり5,000~8,000円
8種混合ワクチン 1回あたり8,000~10,000円
狂犬病ワクチンの費用は都道府県によって定められており、1回あたり3,000円程度が相場のようです。
混合ワクチンは子犬に何種類のワクチンを接種するかによって費用が異なりますが、1種類あたり1,000~1,500円程度を目安にするとよいでしょう。同じ5種混合ワクチンでもメーカーによって値段が異なるので、詳しくは動物病院に確認してください。
子犬のワクチン接種で予防する病気
狂犬病
狂犬病は犬以外の哺乳類にも感染する人畜共通感染症で、発症した場合の死亡率は100パーセントだと言われています。症状は発熱、頭痛、嘔吐、倦怠感、疲労感、食欲不振などから始まり、噛まれた部分の知覚異常などを経て、昏睡状態に陥り死亡します。
そのため、飼い犬が人や他の犬を噛んでしまった場合は、子犬の頃にワクチン接種をしていたとしても動物病院で検査を受け、きちんと予防接種が行われていること、狂犬病に感染していないことを証明しなくてはなりません。
犬ジステンバー
犬ジステンバーは発病率と致死率が非常に高いウイルス感染症で、1歳未満の子犬に発症が多いとされています。接触または飛沫によって感染すると、潜伏期間を経て目やにや鼻水、くしゃみ、下痢などの症状が現れ、神経に異常をきたすと運動障害が出ることもあります。
発病すると治療法がない病気ですが、事前にワクチンを打っていれば無症状か軽い呼吸器症状だけで済むことがほとんどだと言われています。
犬パルボウイルス感染症
犬パルボウイルス感染症は、経口によって伝染する感染性の高い病気です。激しい嘔吐や下痢を起こすことが特徴で、急激に衰弱したり突然呼吸困難になったりすることがあります。死亡率も高い病気のため、子犬の頃からワクチン接種をして予防に努めましょう。
犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス1型感染症)
犬伝染性肝炎はアデノウイルスの感染によって肝炎が引き起こされるもので、ワクチン接種をしていない幼齢期の子犬が感染すると突然死亡してしまうこともある病気です。
排泄物や唾液を通して感染し、嘔吐や下痢、発熱、腹痛、眼球の白濁などの症状が見られます。重症化すると肝臓の機能の低下による虚脱や痙攣、発作の他、脳炎が起こることもあるので注意が必要です。
犬伝染性喉頭気管炎(犬アデノウィルス2型感染症)
犬伝染性喉頭気管炎はアデノウイルスによって肺炎や円筒炎などの呼吸器疾患を引き起こす感染症です。単独感染の場合は軽い咳や発熱が数日続く程度で回復しますが、他のウイルスと混合感染を起こすと症状が重くなったり肺炎になったりして死亡率が高まります。
混合感染を避けるために、子犬の時期に他の感染症に対するワクチンと組み合わせた混合ワクチンを接種することが推奨されています。
犬パラインフルエンザウイルス感染症
犬パラインフルエンザウイルス感染症はパラインフルエンザウイルスによる疾患で、咳や鼻水、発熱、食欲低下など人間の風邪のような症状が出ることから「犬風邪」とも呼ばれることもあります。
子犬でも単独感染であれば比較的症状は軽いとされていますが、伝染性が高く他のウイルスや細菌と混合感染すると重症化するため、ワクチンで予防する病気の対象になっています。
犬コロナウイルス感染症
犬コロナウイルス感染症は、コロナウイルスの経口感染によって下痢や嘔吐などが引き起こされる病気です。単独感染や成犬への感染であれば症状も軽いと言われていますが、子犬が感染すると症状が強く現れることがあるため気をつけたい病気の一つと考えられています。
犬パルボウイルス感染症と重複感染すると症状が重症化し致死率が上昇するとされているので、他のワクチン同様接種が推奨されています。
犬レプトスピラ感染症
犬レプトスピラ感染症は200以上もの種類があり、日本では国内で確認されている9種類のうち、7種混合ワクチンでは2種類、8種混合ワクチンでは3種類が予防対象です。
症状には嘔吐や高熱、食欲の低下の他、脱水や血便、肝臓や腎臓の障害などがあり、重症化すると死に至ることもあります。レプトスピラは人に感染することもある細菌なので、子犬に予防接種を受けさせるだけでなく、ねずみなどの保菌動物との接触を避け、感染源となりえる湿地などに近づけないようにすることが大切です。散歩後は消毒をするなどして感染を防ぎましょう。
まとめ
子犬が接種するワクチンには狂犬病ワクチンのように法律で義務づけられているものと、混合ワクチンのように任意のものがあるようです。
混合ワクチンの種類は予防したい病気や犬の体質などによって異なるため、接種する時期や費用などはかかりつけの動物病院に相談するとよいでしょう。
予防する病気の中には感染すると100パーセント死亡するものや人間に感染するものもあるので、子犬の頃から定期的にワクチンを接種することで愛犬と飼い主の健康と命を守れるとよいですね。
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