2019/04/24【カンジダ・オーリス感染症】ご存じですか? 危険な真菌感染カンジダ・オーリスの流行を

最近、カンジダ・オーリス(Candida Auris:カンジダ・アウリスとも)が話題に上ることが増えています。この危険な真菌感染症が、米国をはじめ世界中に広がっているという報告があってからのこと。
米国疾病対策センター(CDC)によると、「新興の世界的脅威」。カンジダ・オーリスは、深刻な感染症の原因になる可能性があり、死さえも引き起こしかねないとも言います。
「米国では、カンジダ・オーリスがニューヨーク、ニュージャージー、およびイリノイ州に出現しており、さらに拡大の可能性があります」と説明するのは、ジョンズ・ホプキンス大学健康安全センターのアメッシュ・アダルジャ医師(シニア・スカラー)。
ここでは、この謎の多い感染症について知るべき事、なぜ関心を持つべきなのかについて確認してきます。
カンジダ・オーリスとは何?
カンジダ・オーリスは、真菌感染症の一つです。
「普通、カンジダ感染症は、酵母菌あるいはイーストによる感染症と呼ばれます」と、感染症専門医で、ヴァンダービルト大学医学部教授であるウィリアム・シャフナー医師は言います。しかし、カンジダ・オーリス感染は標準的な酵母感染より、はるかに深刻。
「いわゆるスーパーバグに分類されるものなのです。カンジダ・オーリス感染が、病気を患う人の治療を難しくする場合があるのです」とシャフナー医師。
シャフナー医師は、「この真菌はしぶといのです。いったん医療施設が汚染されると、完全に正常化するのが難しい可能性があります」と説明します。
なぜ、そんなに心配するの?
アメリカ疾病対策センターによると、カンジダ・オーリスは発見や特定が困難であることが珍しくありません。さらに、病院や老人ホームなど、医療現場でアウトブレイク(感染が爆発的に広がること)が起こることがあるのです。
「しかし、カンジダ・オーリスについて最も懸念されていることは、一般に使用されている真菌に対する薬が効かないケースが多いこと」と説明するのは、オハイオ州アクロンの感染症医師で、ノースイースト・オハイオ医科大学の内科准教授であるリチャード・ワトキンズ医師。「ほかの真菌感染症と比べて死亡率が高まる要因になるのです」(ワトキンス医師)
「ほとんどのカンジダ・オーリス感染は、がん患者、集中治療室(ICU)も入院患者、介護施設に入る高齢者のように、すでに病気にかかっている人の間に広がっているのです。突然引き起こされる感染症ではありません」と、アダルジャ医師は述べます。
しかし、多くの人の皮膚にはカンジダ菌が存在しており、人から人へうつっています。だからこそ、感染症のまん延している状態は心配されるのです。
感染した場合の症状は?
症状を特定するのは少し困難です。というのも、最も一般的な症状は、アメリカ疾病対策センターによると、抗生物質が効きづらい発熱と悪寒なのです。しかし、この感染症にかかる人がもともと別の病気(基礎疾患)を抱えているため、症状だけからカンジダ・オーリスだと特定するのが難しいのです。
いったんカンジダ・オーリスに感染すると、カンジダ・オーリスの真菌は血流や傷に入り込みます。さらには、敗血症のような深刻な健康問題を引き起こします。「患者の体温が上がることがあり、血圧は下がる可能性があります。さらに、カンジダ・オーリスの感染のため、もともと抱えている病気との合併症を引き起こすのです」とシャフナー医師。
このカンジダ・オーリスの感染症は死亡率が高いことが分かっています(アメリカ疾病対策センターのデータによると、侵襲性カンジダ・オーリスとなった患者は、3人に1人以上の割合で亡くなっています)。
しかし、医師にとっては、亡くなった患者が、カンジダ・オーリス感染症のために亡くなったのか、あるいは別のもともと抱えていた病気のために亡くなったのか、見極めることは困難なのです。「その亡くなった原因が何であれ、カンジダ・オーリスの感染が問題になることは確かです」とシャフナー医師は説明します。
カンジダ・オーリスの予防法とは?
「一般的に言えば、大切になるのは、注意深く感染を寄せつけない管理に取り組むことです」と、アダルジャ医師。病院や介護施設の部屋をよく掃除します。患者の世話をしているときには、日頃から手指を清潔にする。こうした取り組みにより、感染を断つことができるのです。「感染を防ぐためには他の方法はありません」とアダルジャ医師は説明します。
感染症にかかるリスクが最も高くなるのは、長い間にわたって入院している人、中心静脈カテーテルをつけている人、体内へとカテーテルやチューブをつないでいる人、以前に抗生物質、または抗真菌薬を投与された人です。
抗生物質が使用されている場合、本当に必要かどうかを医師に相談するように、シャフナー医師はすすめます。「抗生物質の過剰使用は、カンジダ・オーリス感染を起こしやすい状況を作り出してしまうのです」(シャフナー医師)
「一般的に、平均的な健康状態であれば、カンジダ・オーリスを心配する必要はありません」とアダルジャ医師は説明します。ただし、あなたやあなたの大切な人が長く入院している場合、こうした情報を知っておくことは大切です。
https://www.mylohas.net/2019/04/189579pvn_candida_auris.html

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 2017-7-18

    次世代リーダー研修(総合リスク管理兼リーダー研修)

    感染症や食中毒対策、BCP、リスク管理、次世代リーダー育成など、事業の成長と防衛に欠かせない研修をパ…
  2. 2017-8-7

    学術雑誌「医療看護環境学」を創刊致しました!

    学術雑誌「医療看護環境学」を創刊致しました! どうぞご利用ください! 医療看護環境学の目的 …
  3. 2021-4-1

    感染症ガイドMAP

    様々な感染症情報のガイドMAPです 下記のガイドを参考に、情報をお調べください。 感染症.com…
  4. 2021-4-1

    感染症.comのご利用ガイドMAP

    一緒に問題を解決しましょう! お客様の勇気ある一歩を、感染症.comは応援致します! 当サイトを…
  5. 2022-9-1

    感染対策シニアアドバイザー2022年改訂版のお知らせ

    感染対策シニアアドバイザーを2022年版に改訂しました! 感染対策の最前線で働く職員の…

おすすめ記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る