【B型肝炎】B型肝炎救済1割未満 特措法、給付金受給資格2.6万人
集団予防接種の注射器使い回しによるB型肝炎ウイルス(HBV)感染者のうち、救済目的の特別措置法施行から5年が経過した今年1月末時点で、国との和解手続きを経て給付金の受給資格を得た人は約2万6千人だったことが18日、分かった。推計の給付対象者は45万人で、1割にも満たない現状が判明。症状がなく感染に気付かない人が多いほか、手続きに時間がかかるケースも増えており、国は検査費助成や担当職員の増員など対応を急ぐ。
集団予防接種での注射器使い回しは国が禁じた1988年まで40年続けられ、この間にB型肝炎ウイルスへの感染が拡大。被害者による集団訴訟で2011年、国の責任を明記した基本合意書が取り交わされ、12年1月に救済を目的とする特措法が施行された。
給付金は、未発症者も含め症状に応じて50万~3600万円。受給には、被害者が提訴し、母子手帳やカルテによって予防接種との因果関係の認定を受け、和解する手続きが必要だ。被害者が亡くなっている場合、遺族の提訴も認められる。
厚生労働省などによると、今年1月時点で提訴した被害者は4万3487人(遺族提訴も含む)で、このうち和解が成立し給付金の受け取りが認められたのは2万6206人。推計による対象者約45万人の6%程度にとどまっている。
厚労省などは「症状がないため感染に気付かず、そもそも提訴していない人が多い」と説明。母子手帳やカルテを見つけられず、提訴手続きを取ることができない人もいるという。
一方、提訴したが和解に至っていないのは約1万7千人。B型肝炎訴訟の弁護団によると、提訴者は増加傾向にあり、以前は平均3~5カ月だった和解成立までの期間が、15年秋以降は1年程度に延びていることも影響しているという。
厚労省は、制度から漏れる被害者がいないよう、ウイルス検査を呼び掛けるホームページの作成や検査費の助成で対応。提訴後の長期化を解消するため、カルテの審査などを担当する職員を4月以降増やす方針だ。
原告側は、22年1月とされる給付金の請求期限について、全被害者が救済されるまで延長するよう求めている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG18H0R_Y7A310C1CC0000/