【犬の感染症】犬の蚊対策はどうする? フィラリアの病気・症状や予防薬の誤解を解説

【犬の感染症】犬の蚊対策はどうする? フィラリアの病気・症状や予防薬の誤解を解説

夏は犬にとっては過酷な時期といえます。蚊、ノミ、マダニが活発化し、感染症を引き起こすことで命の危険にさらされてしまう可能性があるからです。暑さによる熱中症なども注意しなければなりませんが、これは犬だけの問題ではなく人も十分に注意する必要があります。犬も人も予防が大切ですが、犬は自分で予防することができません。愛犬の予防は飼い主さんが正しい知識を持っているかにかかっているのです。愛犬のためにも適切な対策をして、病気を未然に防ぎましょう。

犬も人と同じように蚊に刺されます。しかし人のように刺された部分が膨らんで痒くなるようなことは一般的ではありません。ただ全く無いというわけではなく、そういった症状が出ると、人と同様に痒くなります。もっとも、犬の場合は皮膚が毛に覆われているため、膨らみを発見すること自体がまれです。

発症するかもしれない病気
犬が蚊に刺された場合に発症する可能性のある病気をいくつか紹介します。

蚊刺症(ぶんししょう)

蚊に刺されることにより起こるアレルギー性の皮膚炎です。犬より猫のほうが知られている病気ですが、犬でも蚊刺症は発症します。ニキビのような丘疹(きゅうしん)という赤い膨らみや、結節上の発疹ができることが知られています(上述したように一般的ではありません)。毛が少ないところに出ることが多いです。

犬糸状虫症(犬フィラリア症)

よく蚊が発生する夏の時期にフィラリア(ディロフィラリア・イミティス:Dirofilaria immitis)を予防をすることは一般的となっています。では、このフィラリア症とはどのような病気なのか詳しく述べていきます。

フィラリアを媒介する蚊

まずは蚊について知っておきましょう。蚊は節足動物門に属し、全世界で3520種以上が知られている昆虫集団と報告されています(※1)。日本では、流動的ではありますが112種類の蚊が分布しています(※1)。フィラリアを媒介する蚊としては、トウゴウヤブカ、ヒトスジシマカ、アカイエカなどが知られています(※2)。主な蚊の発生および生息場所は以下の通りです。

蚊の寿命は種類にもよりますが最短で13.8日、最長だと4カ月以上を超えて生存するものもいます(※1)。人や動物に吸血する蚊はメスであり、この理由としては、交尾をすませたメスが卵の発育に高タンパクの血液を必要とするからと考えられています。オスの蚊は夜露や果汁、花の蜜からエネルギーの糖分を摂取します(※4)。

オスの方が寿命も短く、数日で力尽きて死にます。吸血したメスの24時間生存率は80%と言われ、さらに病原体を体内に取り込んだ蚊はもっと生存できないことがいくつかの論文から推測できます。吸血とともに侵入した病原体が、蚊の体内で増殖あるいは発育して感染可能となるには、ある一定の時間が必要となります。

犬糸状虫症(犬フィラリア症)ってどんな病気?

感染犬から非感染犬のルートを説明しましたので、次はフィラリア症について解説します。フィラリアは、成虫に成ると体長がオスで12〜18cm、メスで25〜30cmの乳白色、そうめん状の線虫です。この成虫が心臓の肺動脈に寄生します。さらに、成虫が増殖すると肺動脈の前にある右室にまで影響をおよぼすことになります。

ここで大事なことは、心臓に寄生することでどのような症状が起こるかということですが、フィラリア症の病態は、成虫の寄生数、感染期間などに依存し、症状の出方も異なることがあります。

まず、感染した犬の多くは実は無症状です。感染期間などの要因が重なることにより、発咳、呼吸困難、運動不耐性などの症状が見られるようになり、次に腹水、むくみなどが現れ、その他に湿疹、虚脱などを招き最後には喀血を伴って死亡するという無残な状態になってしまいます(※2)。

フィラリア検査って本当に必要?

よく「フィラリア検査は本当に必要なんでしょうか?」と聞かれることがありますが、いつも「状況に応じて必要」とお答えしています。フィラリア予防薬と言われるものは、基本的に駆除薬です。つまり侵入したフィラリアを薬で駆除するわけですが、一番の問題は「どこにいるどのくらいのフィラリアを駆除するか」ということです。一番リスクが少ないのは、非感染犬が蚊にさされフィラリアに感染してしまった直後に投薬することです。

では「フィラリア薬の投与にリスクがあるときはいつか」というと、感染して6〜7カ月ほど成長を繰り返し、心臓の肺動脈に寄生したフィラリアを駆除するときです。この成虫が多ければ多いほど駆除した後のリスクが高まります。成虫を駆除したことで肺に異常をきたしたり、ショックに陥り死に至ることがあります。毎月通年投与をしている愛犬の検査は必要とは言いませんが、投薬していない月がある犬には検査が必要と言えるでしょう。

予防

蚊に刺されないための予防を考えてみましょう。

薄手の洋服を着させる

夏ということもあるため、熱中症に気を付けながらの蚊の予防としては、人と同様に洋服を着させることです。なるべく、手足も隠れるものが理想的です。
アロマやハーブなどペット用虫除けスプレーを使用する
アロマやハーブは薬剤ほど蚊が近寄らせない効果が強いとは言えませんが、効果が見られることもあります。薬剤はペットには刺激が強すぎて体調を悪くしてしまうことがあります。それでは本末転倒ですので、マイルドな虫除けスプレーを使用するのもいいでしょう。

蚊取り線香を使用する

蚊取り線香の業者いわく、十分な換気を行った状態でなら使用可能ということです。室内にいる蚊の退治をすることも重要です。

フィラリア症にならないための予防

蚊に刺されないように予防することはもちろんですが、いつ何時、蚊に刺されるかはわかりません。人でもどれだけ虫除けスプレーなどをしても、外にいれば必ず蚊に刺されます。では、蚊に刺されてしまった後にフィラリア症にならないためにはどうしたら良いのでしょうか。
それは、意外に簡単ですが毎月1回投薬をするだけです。これは蚊に刺されないための予防ではありません。蚊に刺され、万が一ですがフィラリアが感染してしまった時の予防法です。予防薬と言う言い方をするだけに、飼い主さんによっては「薬を飲んだ後1カ月は蚊に刺されない」という認識の方がいらっしゃいますが、これは間違いです。蚊に刺され、感染してしまった時に体に入り込んだフィラリアを駆除するという意味での予防薬なのです。

現在、動物病院で処方している薬はすべて同じで、刺されない予防薬ではなく刺されてからの駆除薬です。意外に知らない方が多いため注意が必要です。夏を過ぎた後の最後の投薬を忘れてしまうと、次の年にはフィラリアの虫が成長している可能性もあります。くれぐれも理解を深め、その年の最後の投薬を忘れないように心掛けてください。

犬が蚊に刺された時の対処法

蚊に刺されたことによる痒みなどの症状が部分的であれば、ステロイドの外用薬を塗ることが良いと思います。しかし症状が全身的や広範囲にわたるのであれば内服薬が必要になります。ただ、偶然にも蚊に刺されたところを見ていればどこが刺されたかわかりますが、通常は普通の湿疹との区別がしづらいと思います。痒がっている部分を掻き壊してしまう場合は、エリザベスカラーをつけて二次的な被害を避けることも必要です。

まとめ

現在、犬で問題になる病気は蚊によるアレルギーと、最も問題となるフィラリア症です。人の蚊による媒介感染症を見てみると、世界的に有名なマラリアだけでなく記憶に新しいデング熱やジカ熱などがあります。犬の場合も、このような未知なる感染症が無いとは言い切れません。日本以外のアジアで問題となっていた感染症が日本で発見されているケースも出てきています。蚊に刺されない努力をすることはもちろん、刺された場合の予防を行うこともとても重要だと知っていただければと思います。

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