2020/05/05【新型コロナウイルス:COVID-19】仕事での接触機会は減らせたか 東大など調査 新型コロナ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京大学などがどの程度、仕事で人との接触機会を減らせたか、ふだんと比べた割合を調査したところ北海道が東京都などに比べて低い結果がでました。専門家は地方ではテレワークが難しい職種が多いことが影響している可能性もあると指摘しています。
東京大学と民間の調査会社「サーベイリサーチセンター」は先月25日と26日、政府の緊急事態宣言が全国に拡大された後の接触機会の変化などについて東京都、大阪府、北海道、愛知県、福岡県の20歳以上の男女を対象に、インターネット調査を行い2520人から回答を得ました。
このうち、就業している人に仕事で人と接触する機会をふだんを100%として、どの程度減らせたか、日ごとに尋ねたところ、先月20日の週の平日では、東京都は接触機会を70%前後、減らしていました。福岡県は60%台前半、大阪府は60%前後、愛知県は55%前後でした。一方、北海道はいずれの日も40%台で、もっとも接触機会を減らせていませんでした。
また、職種に関した質問では「テレワークができない職種」と答えた人が、東京都は50.8%、大阪府は61.4%、福岡県は66.7%、愛知県は71.4%、北海道は75.5%となり、北海道がもっともテレワークができない職種とした人の割合が高くなりました。
調査を監修した東京大学の関谷直也准教授は「東京都では、本社的な管理の仕事や金融や情報通信などテレワークがしやすい職種が多く、接触の低減効果が出る一方、地方に行くほどテレワークがしにくい仕事の人が多く、なかなか行動抑止ができない傾向があると考えられる。テレワークができない職種で無理にテレワークに移行しようとしても接触機会の減には結び付かないので、地方では目標の接触8割減に向けては、別の方策を考えていく必要もあるのではないか」と指摘しています。
農業従事者多い北海道 テレワーク導入は困難
全国的にテレワークを取り入れる動きが進む一方で、北海道内では農業のように導入が難しい職種が多いという実情があります。
北海道長沼町の三木田佑介さんは、広さ55ヘクタールの畑で野菜を生産する農業法人を経営しています。
雪が溶けて暖かくなったこの時期、長ねぎの苗を植える作業が本格化しています。社員やパートのほか外国人技能実習生の手も借りて、およそ20人の態勢で農作業を行っています。
夏の収穫時期に間に合わせるためには、今のうちに一気に苗を植える作業を終わらせなければなりません。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、テレワークが有効なのは理解していますが、現場での作業が欠かせない農業では難しいのが実情です。
なるべく現場に出る人数を減らそうと機械の導入も進めていますが、長ねぎのような丁寧な扱いが必要な野菜は人の手をかけなければならない工程が多く、実際に人が畑に出て作業する必要があります。作業にあたる人たちが一定の距離を保つことを心がけるほか、農作業以外のふだんの外出は控えるよう呼びかけることが精いっぱいの対策だといいます。
三木田さんは「どうしても現場の作業が必要となる農業の分野で、在宅勤務をするのは現実的に難しい。業者との打ち合わせを電話で済ませるなど、できる範囲で感染リスクを抑えていくしかない」と話していました。
作業によっては検討の余地も
北海道でのテレワークの実施状況について、北海道雇用労政課の西岡孝一郎課長は「農業に限らず現場の作業を必要とする業種はテレワークを導入するのはなかなか難しい部分があると思う。一方で、事務作業など机の上でやる業務もあるので、そこは検討の余地があると思う」と話していました。
そのうえで、「人と人との接触を避けるという意味でテレワークは非常に効果的な取り組みであるので、産業によって導入のしやすさに差はあるが、可能なかぎり1社でも多く導入してほしい」と話していました。

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