ウエストナイルウイルス West Nile Virus
ウエストナイル熱


蚊が媒介する脳炎を引き起こすウイルスです。

病原体について

病原体は、ウエストナイルウイルスです。

ウエストナイルウイルスは、フラビウイルス属に属します。フラビウイルス属に属するウイルスとしては、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、黄熱ウイルス等があります。ウエストナイルウイルスは、蚊によって媒介され、人に脳炎や髄膜炎を起こすことがあります。

ウエストナイルウイルスに感染している鳥などの動物の血を吸うことにより、蚊はウエストナイルウイルスに感染します。ウエストナイルウイルスに感染した蚊が、人や動物の血を吸うことによって、血を吸われた人や動物がウエストナイルウイルスに感染します。

ウエストナイルウイルスに感染しても無症状の鳥がいる一方で、アメリカカラス(Corvus Brachyrhynchos)はウエストナイルウイルスに感染すると致死率が高く、アメリカ合衆国では、人のウエストナイルウイルス感染症患者発生の増加の直前に、カラスの死亡の増加が見られました。アメリカ合衆国では、ウエストナイルウイルスの蔓延状況を知るため、死亡したカラスの調査も行われています。

特徴

ウエストナイルウイルスについては、米国で深刻な問題となっています。

2003年には全米での感染者(CDCに報告された)が9,862人で、うち2,641人が死亡しています。2010年9月7日の段階では258人の感染者のうち6人が死亡しています。

このウイルスは、蚊が媒介となっているため、ウイルス保持の蚊が国内に侵入すると脅威が現実のものとなります。当然のことながら輸血用血液、血液製剤の安全性も問題となってきます。

蚊が媒介するデング熱、黄熱病、原虫によるマラリア等は、気候変動、地球温暖化により、病原体の媒介蚊の北限が日本まで上昇する可能性は侮れません。そうなれば、我が国における感染症の様相も変化します。

潜伏期間と主な症状

蚊に刺されてから発病するまでの潜伏期間は、2~15日(2~6日が多い)です。

ウエストナイルウイルスに感染した蚊が、人の血を吸うことによって、血を吸われた人がウエストナイルウイルスに感染します。しかし、このようにしてウエストナイルウイルスに感染しても、大部分の人は、まったく症状がないか、突然の発熱(3~5日続く。通常、摂氏39度以上。二峰性となることもある。悪寒を伴うこともある。)・頭痛(しばしば前頭部痛)・咽頭痛・背部痛・筋肉痛・関節痛などの症状の後、全快するか、のいずれかです。症状が出る人が5分の1程度、症状がない人が5分の4程度とされます。

発疹が出ることや、リンパ節が腫れる人もいます。腹痛・嘔吐・結膜炎などの症状が出る人もいます。

少数(感染した人140~150人に1人の割合)で脳炎・髄膜炎を起こし、中枢神経系の症状が出現し、死に至る人もいます。脳炎の症状としては、強い頭痛、高熱、首が硬くなる、嘔吐、精神錯乱、筋力低下、呼吸不全、意識レベルの低下(昏睡)などで、死に至ることもあります。

筋力低下がウエストナイル脳炎で目立つことがあります。ルーマニアやロシアの流行では、不全麻痺や麻痺が患者の15~20%で見られました。1999年のニューヨーク市の流行では、入院患者の約半数で不全麻痺が、約10%で弛緩性麻痺が認められました。また、ニューヨークのクィーンズ地区では、ウエストナイルウイルスに感染した場合、脳炎・髄膜炎などの重症になるのが、65歳未満の人が300人に1人であったのに対し、65歳以上の高齢者の方が50人に1人と確率が高かったです。

ウエストナイルウイルスに感染した場合、1%未満の人がウエストナイルウイルスによる脳炎になります。そのようにして、ウエストナイルウイルスによる脳炎で入院した人のうち、致死率は3~15%です。結局、ウエストナイルウイルスに感染した場合、致死率は0.1%未満と考えられています。ウエストナイルウイルス感染症に対する予防接種(ワクチン)はありませんが、現在研究開発途上です。

残念ながらウエストナイルウイルス感染症に対する特効薬はありません。治療としては、症状に応じた対症療法が中心となります。

感染経路

人の感染経路としては、感染した蚊による場合の他に、感染中の人からの輸血の場合、感染中の人からの臓器移植の場合、感染中の母親からの母乳による可能性などが知られています。

感染中の母親から子宮内で胎児が感染したと考えられる例も報告されています。人から蚊が感染することはないと考えられているため、ウエストナイルウイルス感染症の患者・感染者を隔離する必要はありません。

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