ノロウイルス Noro Virus
サポウイルス Sapo Virus


ウイルス性の感染性胃腸炎による食中毒の代表例です。

病原体について

どちらも同じ胃腸炎ウイルスであり、ロタウイルスよりはるかに小さく、直径30~38nmの正20面体の小型球形RNAウイルスで、カリシウイルス科に属します。

最近では、ノーウォーク(Norwalk)ウイルス(2002年8月に国際委員会でノロウイルスと命名)が人間社会に蔓延している厄介なウイルスです。

特徴

ノロウイルスは、冬季を中心に、年間を通して胃腸炎を起こします。

85℃~90℃で90秒間以上の加熱によりウイルスは感染力を失います。感染経路は疫学的調査から、生カキの関与が強く指摘されています。

また、学校や保育園などで、生カキを食べていないのに集団発生をする事例があり、原因として人から人への二次感染が疑われています。ノロウイルスは直径0.03マイクロメーター前後のたん白質でできた球の中に遺伝子(DNAデオキシリボ核酸に該当するRNAリボ核酸)が包まれた構造をした生物です。

近年、新しい検査法(PCR法)の開発、普及により食品からのウイルスの検査が可能になり、食中毒との関係が明らかになってきました。

100 個以下という少量で感染が起こりますが、人の腸管内でウイルスが増殖するため、患者の糞便やおう吐物には1ℊあたり100 万から10 億個もの大量のウイルスが含まれています。

日本では10月頃からはじまり12月から3月をピークにして全国的に流行します。世界中に分布し、ヒトからヒトに感染し、家族内感染も起こります。米国での成人胃腸炎の40%がノロウイルスとされています。

潜伏期間は1~2日であると考えられていますが、症状が沈静した後も3~7日間ほど患者の糞便中にウイルスが排出されるため、二次感染の注意が必要です。まれに数ヶ月にわたり排泄される例もあるので油断大敵です。

乳児から成人まで幅広く感染するが、一般に症状は軽症であり、治療を要せず軽快します。まれに重症化する例もあり、老人や免疫力の低下した乳児では死亡例も報告されている。

嘔気、嘔吐、下痢が主症状であるが、腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛等を伴うこともある。近年では特別養護老人ホームで入居者がノロウイルス感染による発熱、嘔吐、下痢で死亡した報告があります。

カキや貝類を生ないし調理が不充分な状態で食すと胃腸炎を引き起こします。
ノロウイルスは貝の体内では増殖できません。二枚貝の生息域がノロウイルスに汚染されると、ノロウイルスを体内に蓄積してしまうと考えられています。そのため、カキのなかで増殖するのではなく、糞便中のウイルスが下水等から貝類に蓄積濃縮される。

調理人が感染者だと感染源になり得ます。
これは感染に必要なウイルス量が極めて少ないことを意味しています。細菌による食中毒では、食材中で菌が増殖し感染発症します。ノロウイルスによる食中毒患者は年々増加し、2004年では全体の食中毒の44%を占めていますが、患者数は食中毒よりヒトからヒト感染の方が数十倍から数百倍多く傾向です。

医療施設での集団感染では患者の次に看護師の感染が多いようです。
軽度の症状または不顕性感染着が周囲に多数いる可能性があるので、介護に伴う糞便処理等で不充分な手洗い消毒等による糞口感染が容易に起こり得ます。

最近ではホテル、クルージング船内等での感染報告が増加しており、吐物の処理後の消毒が不充分なため、乾燥した飛沫による空気感染が宿泊施設での感染拡大の原因となっています。

感染経路

1)経口感染

人の糞便などに含まれるノロウイルスが、下水を経て川から海に運ばれ、カキなどの二枚貝の内臓に蓄積されます。それを、十分に加熱しないで食べると感染します。

2)接触感染

ノロウイルスに感染した人が、十分に手洗いを行わずウイルスが手についたまま調理をすると、食品が汚染され、その食品を食べた人が感染します。

3)空気感染

ノロウイルスに感染した人の糞便や嘔吐物を処理した後、不適切な処理で残ったウイルスが、乾燥してホコリと一緒に吸い込むことで感染します。

主に経口感染で、汚染された食品を摂取することで感染します。

高齢者介護施設においては、感染者の便や吐物に触れた手指で取り扱う食品などを介して、二次感染を起こすことが多くなっています。

特に患者の便や吐物中には大量にウイルスが存在するため、トイレでの排便時、汚物処理時に手が汚染されます。その手や清掃用具を介して、水道の蛇口、洗い場などがノロウイルスに汚染され、さらにそこから他の人へ汚染が広がります。このような感染を、「ヒト-ヒト感染」と言います。嘔吐などがあった場合は、速やかに正しい処理を行ない、二次汚染をさせないことが重要です。

潜伏期間と主な症状

潜伏期間は24~48時間で、下痢、吐き気、腹痛、発熱(38℃以下)が主症状です。通常3日以内で回復します。

感染しても全員が発症するわけではなく、発症しても風邪のような症状で済む人もいます。抵抗力が落ちている人や乳幼児では数百個程度のウイルスを摂取することで発症します。

また、噴水のような嘔吐が突然、強烈に起きるのが特徴です。

下痢は水様性で、重症例では1日に十数回も見られますが、通常は2~3回で治まります。その他の症状としては、発熱、筋肉痛、頭痛などが見られますが、いずれも軽症です。

しかし、乳幼児や高齢者などの抵抗力の弱い人が感染すると、脱水症状になりやすく、高齢者では嘔吐物による誤嚥性肺炎や、吐物による気道の閉塞による窒息を起こして重症化することがあるため、患者をよく観察することが大切です。

消毒方法

  1. 他の微生物などと比べると熱に強く、85℃1分以上の加熱が必要です。
  2. 逆性石けん、アルコールの消毒効果は十分ではありません。塩素系漂白剤の次亜塩素酸ナトリウムは効果があります。

食中毒対策

きっちり手洗い

食中毒予防には手洗いが最も重要です。

調理前、食事前、トイレの後には、石けんをよく泡立ててこすり洗いし、流水できっちりすすぎましょう。
二度洗いを行うとより効果的です。

しっかり加熱

カキやアサリなどの二枚貝の内臓にはノロウイルスが蓄積することがあるため、生や半生で食べると食中毒にかかる可能性があります。

しっかり中まで火を通して調理しましょう。加熱は中心温度85℃~90℃で90秒間以上が目安です。

調理器具等の消毒

消毒には次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を用いましょう。アルコールや逆性石けんはあまり効果がありません。

嘔吐物や下痢便で表面汚染した場合は感染防護衣類を着用し、ただちに清掃し0.1%(1000PPM)次亜塩素酸ナトリウムで清拭を行います。

ドアノブ等患者、医療従事者が触れそうな場所は清掃清拭を行います。汚染されたリネンは飛散しないようにアクアフイルムに入れ密閉した後、洗濯に出します。

その他

1968年のアメリカ合衆国のオハイオ州のノーウォーク(Norwalk)と言う都市の小学校での胃腸炎の流行をきっかけに、1972年にウイルスの存在が明らかになったため、ノーウォークウイルス(Norwalk Virus)と呼ばれるようになりました。

冬季の発生が多く嘔吐症状が目立ち、当時、冬季嘔吐症と呼ばれていた胃腸炎の原因の一つとノーウォークウイルス(Norwalk Virus)は考えられました。それ以降も、胃腸炎を起こす同様なウイルスによる流行がしばしば見られ、主として流行地の名前を冠して、アメリカ合衆国では、ノーウォークウイルス(Norwalk Virus )以外にも、Montgomery Countyウイルス、ハワイウイルス、Snow Mountainウイルス等が見つかりました。

ノロウイルスは、動物に感染するものも含めて、主要構造タンパク質VP1のアミノ酸配列により5種類の遺伝子群G1~G5、さらに、35種類の遺伝子型に分類されています。

人間に感染するものは、ヒトノロウイルス(Human Noro Virus : HuNo5)とも呼ばれ、G1、G2が主ですが、G4に属するものもわずかにあります。

同じカリシウイルスではサポウイルス(Sapo Virus:旧名称サッポロ様ウイルス)が知られています。サポウイルスも世界中に常在し、生後3ケ月の乳幼児から幼稚園児まで感染します。保育園、学校、産院、老人施設等で流行し、雁患率も高いです。乳幼児の急性胃腸炎の主要病原体ですが、サポウイルスが食中毒の原因になることは稀です。

カリシウイルス科の分類 Calici Virus
 属 主なウイルス
Noro Virus ノロウイルス Norwalk Virus ノーウォークウイルス
Sapo Virus サポウイルス Sapporo Virus サッポロウイルス
Lago Virus ラゴウイルス Rabbit hemorrhagic disease Virus
Vesi Virus ベシウイルス Swine vesicular exanthema Virus
Nebo Virus ネボウイルス Newbury-1 Virus
Reco Virus レコウイルス Tulane Virus
ノロウイルスの遺伝子分類
遺伝子群 遺伝子型 種類 宿主
G1 G1.1~1.8 8種類 人間
G2 G2.1~1.21 21種類 人間、ブタ
G3 G3.1~3 3種類
G4 G4.1、G4.2 2種類 人間、犬
G5 G5.1 1種類 ネズミ
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