感染症研究の歴史について

感染症研究の歴史について

1676年 細菌の観察 レーウェンフック(オランダ)

微生物を初めて見たのはオランダのレーウェンフックです、自分で顕微鏡を作って、目に見えない虫などを観察していました。1676年4月24日の観察記録に描いた小さな生き物が細菌だったことが分かっています。この時代には、まだ「細菌」という言葉はありませんでしたが、人類が初めて細菌と出会った記念すべき日です。

レーウェンフック

レーウェンフック顕微鏡

 

1796年 最初のワクチン ジェンナー(イギリス)

天然痘は、感染力が強く長い間人々を苦しめた感染症です。イギリスのジェンナーは、乳しぼりの女性が牛痘にかかった後は天然痘にかからないことを発見し、牛痘の種をワクチンとして人々に接種し、天然痘を予防することに成功しました。病気が広がるのを見ているしかなかった時代に、予防法という道が開かれた画期的な出来事でした。

ジェンナー

 

1861年 微生物の自然発生説の否定 パストゥール(フランス)

目に見えない微生物は、「親から生まれる動物」などと違って、“何もないところから自然に発生する”と考えられていました。それを否定し、“微生物は空気中に存在する”ことを証明したのがフランスのパストゥールです。これが多くの研究者に確信とヒントを与え、病気の原因と微生物を関係づけた研究が一気に進みました。

パストゥール

 

1866年 消毒方法の開発 リスター(イギリス)

パストゥールが空気中の細菌の存在を証明すると、“傷が化膿するのは細菌によるものではないか”と考える医師が現れました。イギリスの外科医のリスターです。それまで消臭剤として利用していた石炭酸を使った消毒方法を確立し、手術の死亡率を激減させました。

リスター

 

1876~1883年 病原菌の発見 コッホ(ドイツ)

細菌の存在が分かっても病気との関係は解明されないままでした。そんな中でドイツのコッホは、炭疽菌、結核菌、コレラ菌を次々と発見し、“病気(感染症)の原因が細菌である”ことを明らかにしました。病気の原因を特定したこの時が、感染症研究の歴史的転換期であり、病原菌との本格的な闘いの幕開けとなりました。

コッホ

 

1890年 抗毒素による治療法の確立 北里柴三郎(日本)

コッホの研究室に留学していた北里柴三郎は、ベーリングと一緒に破傷風とジフテリアの毒素を中和する物質が、それぞれの病気を治すことを発見しました。毒素に対抗する物質を含んだ血清、いわゆる「抗毒素血清」による治療方法の確立です。この時、人類は“感染症を治す”という新たな武器を手に入れたのです。

北里柴三郎

北里柴三郎

 

1880~1920年 日本人研究者の活躍

1892(明治25)年、ドイツ留学から帰国した北里柴三郎のために、福沢諭吉が東京に「伝染病研究所」を創りました。日本における本格的な感染症研究がここで始まりました。北里は1894(明治27)年にペスト菌を香港で発見、志賀潔は1897(明治30)年に赤痢菌を伝染病研究所に入院した患者から発見、稲田龍吉と井戸泰は1914(大正3)年に九州の風土病だったワイル病の病原菌を発見、福島の医師の大原八郎は1925(大正14)年に野兎病の原因菌を発見、と大きな発見が続きました。

志賀 潔

稲田 龍吉

井戸 泰

 

1909年 治療薬の開発 秦佐八郎(日本)・エールリヒ(ドイツ)

人工的に合成した化学物質で感染症を治そうとしたのが、秦佐八郎とドイツのエールリヒです。細菌にくっつく物質は、細菌の働きを止めるだろうと考えて、たくさんの化学物質を実験し、とうとう梅毒の治療薬「サルバルサン606号」を発見しました。化学物質で感染症を治療する「化学療法の時代」の幕開けです。

秦佐八郎とエールリヒ

 

1908~1913年 脳梅毒の原因を解明 野口英世(日本)

野口英世は、末期の梅毒患者が精神障害を起こす「脳梅毒」の原因を徹底的に調べ、1913(大正2)年についに患者の脳組織から梅毒の病原菌(梅毒スピロヘータ)を発見しました。細菌との関係性を認識していなかった精神障害の原因が細菌であることを証明した大発見で、世界中から大喝采を受けました。

野口 英世

 

1929年 ペニシリンの発見 フレミング(イギリス)

イギリスのフレミングは、シャーレの中でブドウ球菌を培養中、青カビが増殖しそのまわりのブドウ球菌がとけているのを発見しました。そして、細菌を殺す物質の存在に気付いたのです。人間には作る事が出来なかった物質を細菌の仲間の微生物が持っていたのです。病原菌そのものを退治してしまう待望の薬・ペニシリン発見の瞬間でした。

フレミング

 

1948年 ウイルスの培養成功 エンダース(アメリカ)

ウイルスが人の病気を起こすことは分かっていましたが、細菌のように、栄養を与え環境を整えても増殖しないので研究は進みませんでした。1948(昭和23)年、アメリカのエンダースは、培養した人の細胞を使って実験室でポリオウイルスを増やすことに成功しました。その結果ウイルス研究が飛躍的に発展することになりました。

エンダース

 

1980年 天然痘根絶宣言 WHO(世界保健機関)

WHO(世界保健機関)は、1958(昭和33)年に天然痘を地球上から根絶するプロジェクトを始めました。そして1980(昭和55)年5月6日「われわれは天然痘を地球上から根絶した」と高らかに宣言しました。天然痘は人類が克服した唯一の感染症です。

天然痘根絶宣言

 

1970年~ 終わらない感染症との闘い

多くの感染症に効果的な薬や予防法が確立した現代でも、感染症の脅威がなくなったわけではありません。1970年以降もエボラ出血熱、レジオネラ症、エイズ、C型肝炎などの新しい感染症が次々と出現しています。また抗生物質の多用による耐性菌の出現も大きな問題になっています。目に見えない病原体をコントロールすることは難しく、感染症との闘いはまだまだ終わっていないのです。

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