耐性菌・耐性ウイルスについて

耐性菌・耐性ウイルスについて

細菌は遺伝子の突然変異や、他の細菌から遺伝子を受け取ることで、本来は効くはずの抗生物質が効かない「耐性菌」に変身する場合があります。耐性菌にも色々な種類があり、中でも多くの種類の抗生物質に耐性のある細菌を「多剤耐性菌」、さらにその中でも現在治療に使えるほぼすべての抗生物質に耐性のある細菌を「超多剤耐性菌」と呼びます。

超多剤耐性菌の出現

「超多剤耐性菌」が感染症を起こすと有効な治療薬はほとんどありません。そこで、医師は複数の抗生物質を組み合わせて治療することで効果が高まることを期待したり、場合によっては日本で承認されていない抗生物質を輸入して治療に当たったりしますが、治療が失敗して患者の生命を脅かす危険は普通の(耐性ではない)細菌の感染症の場合と比べると高いものとなります。

耐性の種類

通常

従来の抗生物質が効く

耐性

従来の抗生物質で効かないものがある

多剤耐性

多くの抗生物質で効かないものがある

超多剤耐性

ほぼ全ての抗生物質が効かない

代表的な耐性を持った細菌・ウイルス・原虫

黄色ブドウ球菌

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)
バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)
多剤耐性黄色ブドウ球菌

球菌

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)

緑膿菌

カルバパネム耐性緑膿菌
多剤耐性緑膿菌(MDRP)

結核菌

多剤耐性結核菌(MDR-TB)
超多剤耐性結核菌(XDR-TB)

肺炎球菌

ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)

肺炎桿菌

カルバパネム耐性肺炎桿菌
多剤耐性肺炎桿菌

アシネトバクター

多剤耐性アシネトバクター(MDRA)

大腸菌

カルバパネム耐性大腸菌
セファロスポリン耐性大腸菌
超多剤耐性大腸菌
ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ(NDM-1)

腸内細菌

カルバペネム耐性腸内細菌(CRE)
セファロスポリン耐性腸内細菌

インフルエンザ菌

※インフルエンザウイルスとは異なります。
βラクタマーゼ産生菌インフルエンザ菌(BLPAR)
βラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)

淋菌

ペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)

インフルエンザウイルス

アマンタジン耐性インフルエンザウイルス
タミフル耐性インフルエンザウイルス

HIVウイルス

薬剤耐性HIV

マラリア原虫

クロロキン耐性マラリア

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