感染経路について

感染経路について

代表的な感染経路には、飛沫核感染(空気感染)、飛沫感染、接触感染、経口感染、血液感染などがあります。感染経路に応じた適切な対策が必要になります。

1)主な感染経路と病原微生物

飛沫核感染(空気感染)

咳、くしゃみなどで飛沫核(5μm以下)として伝播します。空中に浮遊し、空気の流れにより飛散します。また、消毒が不十分な排泄物や嘔吐物などから、空中に舞い上がりこともあります。

代表的な感染症
・結核菌
・麻しんウイルス、
・風しんウイルス
・水痘ウイルス
・ノロウイルス(便や吐物の乾燥飛沫)
など

飛沫感染

咳、くしゃみ、会話などで、飛沫粒子(5μm以上)として伝播します。1m以内に床に落下し、空中を浮遊し続けることはありません。

代表的な感染症
・インフルエンザウイルス
・ライノウイルス
・RSウイルス
・マイコプラズマ肺炎球菌
など

接触感染

ドアノブ・器具等接触による間接感染します。手指・食品・器具を介して伝播する頻度の高い感染経路です。

代表的な感染症
・インフルエンザウイルス
・ノロウイルス
・腸管出血性大腸菌(O157)
・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
・緑膿菌
・皮膚や目の病気
・性感染症
など

経口感染

感染動物由来の肉、糞便で汚染された水などを食べることで感染します。接触感染とも密接に関わっております。

代表的な感染症
・腸管出血性大腸菌(O157)
・好塩菌
・ボツリヌス菌
・サルモネラ
・腸チフス
・コレラ
・ノロウイルス
など

介達感染

汚染されたものを媒介する経路で、食品を媒介すると食中毒となります。接触感染や経口感染と密接に関わっております。

代表的な感染症
・食中毒の原因菌
・ジフテリア
・A型肝炎
・E型肝炎
・結核
など

昆虫媒介感染(ベクター)

昆虫・ハエ・鳥(鶏舎)などが媒介する経路で、虫刺されなどが特徴です。近年では日本でもマダニによる死亡例が出ております。また、人類を最も感染させている経路が昆虫媒介感染であり、死亡例が最も多いのが蚊によるものです。

代表的な感染症
・マラリア原虫
・脳炎ウイルス(日本脳炎)
・サルモネラ
・腸管出血性大腸菌(O157)
・腸チフス
・ジカウイルス(ジカ熱)
・SFTSウイルス(マダニ感染症)
など

血液感染

病原体に汚染された血液や体液、分泌液が、針刺し事故等により体内に入ることにより感染します。注射・歯科治療時や外傷による出血が粘膜に接触による場合もあります。

代表的な感染症
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
・B型肝炎
・C型肝炎
・プリオン(クロイツフェルト・ヤコブ病)
など

母子感染

胎内・産道・母乳などで感染する経路です。

代表的な感染症
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
・サイトメガロウイルス
・B型肝炎
・成人T細胞白血病ウイルス
など

2)感染経路の遮断の代表例

1:感染源(病原体)を持ち込まないこと
2:感染源(病原体)を持ち出さないこと
3:感染源(病原体)を拡げないこと

3)感染様式の種類について

感染経路と同様に、よく使用される言葉で感染様式があります。感染様式にも種類がありますので、代表的な感染様式に、潜伏感染と日和見感染があり、一般の方は、潜伏感染、日和見感染をまずは理解・認識しておくべきでしょう。

簡単に解説すると、感染に対する防御力(抵抗力)が病原体に比べて相対的に強ければ感染症は成立しませんが、潜伏はしております。つまり抵抗力により増殖を抑え発病していない状態です。ところが、寝不足や栄養不足などにより防御力(抵抗力)が減弱している場合は、病原体の侵入、定着、増殖を許すことになり発症します。このことを日和見感染といいます。

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