パラインフルエンザウイルス HPIVs Human Parainfluenza Viruses

パラインフルエンザウイルス HPIVs Human Parainfluenza Viruses


小さいこどもたちにおける下気道炎(例えば、肺炎、気管支炎、細気管支炎)の原因となるウイルスとしては、RSウイルスについでヒトパラインフルエンザウイルスによるものが多いです。

病原体について

ヒトパラインフルエンザウイルス(正式名称)が比較的無害な上気道感染を引き起こします。

麻しん、ムンプスウイルスと同じパラミクソウイルス科に属するRNA型ウイルス1・2・3・4型に分類されます。
インフルエンザウイルスとは、気道の炎症を起こすという点で共通点はありますが、まったく別のウイルスです。

特徴

ヒトパラインフルエンザウイルスには、血清型の分類でいくつかの型がありますが、型ごとに流行の時期の違いがあります。

アメリカ合衆国では、ヒトパラインフルエンザウイルスの1型( HPIV-1 )は、隔年で、最近では西暦の奇数年に、こどものクループ(喉頭・気管・気管支の炎症)の流行を秋に起こします。ヒトパラインフルエンザウイルスの2型( HPIV-2 )は、毎年あるいは隔年で秋に流行を起こします。ヒトパラインフルエンザウイルスの3型( HPIV-3 )は、毎年春から初夏にかけて多く見られますが、ウイルス自体は年間を通じて検出されています。

小さいこどもたちにおける下気道炎(例えば、肺炎、気管支炎、細気管支炎)の原因となるウイルスとしては、RSウイルスについでヒトパラインフルエンザウイルスによるものが多いです。RSウイルスと同様に、一生の間に何回も感染することがありますが、通常は、カゼや咽頭炎となります。しかし、特に、高齢者や免疫不全の患者等では、重症の下気道炎(例えば、肺炎、気管支炎、細気管支炎)を何回も繰り返すことがあります。

潜伏期間と症状

潜伏期間は2~6日とされており、1週間にわたりウイルスを放出します。

特に3型は1~2歳以下の乳幼児に感染し易く、重症化した場合は細気管支炎、肺炎等、症状も類似しているのでRSウイルスと区別しにくいです。他の呼吸器ウイルスと同様に飛沫と、分泌液との接触で拡散されます。

飛沫中では、1時間以上感染力を保ちます。体外でものの表面に付着した場合には、数時間は感染力を保ちます。5歳以下の幼児はほぼ全員感染しますが、弱い獲得免疫であるため、再感染(上気道限局)します。

この種のウイルスに対する効果的な感染防御策を見出すのは難しいですが免疫機能が確立されていない乳幼児の感染には十分な注意を要します。

注意すること

  • ヒトパラインフルエンザウイルスに対するワクチン(予防接種)は、今のところありませんが、HPIV-1 と HPIV-3 とに対するワクチンが、現在研究開発中です。
  • 母親から受け取る免疫抗体が、誕生からの最初の数ヶ月間、HPIV-1と HPIV-2とから赤ちゃんを守るのに役立っていると考えられ、母乳による栄養の大切さが示されています。
  • 手にウイルスが付着している可能性を考えて、よく手を洗う習慣をつけることが、予防のために有効です。
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