2022/04/05【新型コロナウイルス:COVID-19】中国の「ゼロコロナ」にほころび…ロックダウンの上海、感染拡大止まらず /中国

中国で、新型コロナウイルスの徹底した封じ込めを優先する「ゼロコロナ」政策のほころびが目立ち始めた。上海市ではロックダウン(都市封鎖)下でも感染拡大に歯止めがかからず、経済活動を本格再開できるめどは立っていない。
3月28日に都市封鎖を始めた上海市は、今月4日には無症状を中心に1万3354人の新規感染者が確認された。4日連続で最多を更新し、5日に予定していた封鎖解除は延期となった。市政府は4日に全住民約2500万人に行ったPCR検査の結果を分析して解除時期を判断するとし、それまでは市全域の封鎖が続く。
上海市は感染対策の優等生とされ、3月下旬までは都市全体ではなく感染者が見つかった限られた地区ごとに封鎖してきた。だが、感染力の強い変異株「オミクロン株」の急拡大を抑えきれず、市政府は同31日、「感染拡大への準備不足」を認めざるを得なかった。
都市封鎖が1週間以上に及び、経済活動への深刻な影響が出始めた。日系物流会社によると、世界最大のコンテナ取扱量がある上海港では、配送担当の運転手への厳格な感染対策で貨物の積み下ろしに遅れが出て、入港を待つ船も目立つ。笹原信・日中経済協会上海事務所長は「陸上や海上、航空の物流の8割が滞っている」と話す。製造業は従業員を工場に寝泊まりさせて稼働しても、輸送網のまひで物品調達や完成品の搬出ができないという。
上海市以外でも、人口約900万人の吉林省長春市は、封鎖から4週間近く過ぎても解除の見通しが立たない。工業都市の同市には外資系の自動車工場などがある。河北省の3市や江西省の県を含め、多くの地域で外出制限措置が続いている。
国家統計局によると、3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49・5と、景況感の改善・悪化の分岐点となる「50」を5か月ぶりに下回った。非製造業の指数も7か月ぶりに節目の50を下回り、企業の景況感は悪化が鮮明となる。
感染者の大半が無症状であることを踏まえ、「封鎖の必要はない」との意見も強まる。上海市の大学勤務の60歳代男性は「感染は怖くない。政治に振り回されている」と、ゼロコロナ政策の見直しを求めた。
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