2020/04/27【新型コロナウイルス:COVID-19】新型コロナウイルス感染症に対する感染管理 /国立感染症研究所

この文書は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われる場合の感染予防策について、 医療関係者及び保健所が参照することを想定し作成した。 今後、疫学的所見や病原体に関する新たな知見の蓄積に伴い、この内容は適宜更新される。
1 医療関係者の感染予防策
COVID-19 の院内感染クラスターの発生増加を踏まえ、2020 年 4 月 5 日現在で、これまでに確認された院内感染クラスターの発端者を発症日に基づいて推定すると患者が 70%、医療関係者が 30%であった。医療関係者が新型コロナウイルス感染症に感染する類型としては、「①COVID19 と診断または疑われている患者を診察して感染」、「②COVID-19 と診断または疑われていない患者から感染」、「③市中や医療従事者間での感染」、に分類される。医療関係者は感染者に曝露す
る機会が多いだけでなく、いったん感染すると自身が院内感染の原因となりうることを考慮すると、医療関係者は①~③どの場面においても、それぞれの類型に応じた十分な感染防止策を講じる必要がある。
「①COVID-19 と診断または疑われている患者を診察して感染」することを防ぐためには、「2医療機関における COVID-19 の疑いがある人や COVID-19 患者の診察時の感染予防策」(後述)を徹底することが重要である。
「②COVID-19 と診断または疑われていない患者から感染」することを防ぐためには、 COVID19 の疑いに関わらず、原則として以下は常に行うべきである。
・外来患者の待合室では、発熱や呼吸器症状を訴える患者とその他の患者、または発熱や呼吸器症状を訴える患者どうしが、一定の距離を保てるように配慮する。呼吸器症状を呈す
る患者にはサージカルマスクを着用させる。
・医療従事者は、標準予防策を遵守する。つまり、呼吸器症状のある患者の診察時にはサージカルマスクを着用し、手指衛生を遵守する。COVID-19 が流行している地域では、呼吸
器症状の有無に関わらず患者診察時にサージカルマスクを着用することを考慮する。サージカルマスクや手袋などを外す際には、それらにより環境を汚染しないよう留意しながら
外し、所定の場所に破棄する。さらに手指衛生を遵守し、手指衛生の前に目や顔を触らないように注意する。
・風邪の症状や発熱のある患者や、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある患者は迅速に隔離し、状況に応じて PCR 検査の実施を考慮する。
「③市中や医療従事者間での感染」することを防ぐためには、
・医療者が日常生活において高リスクな環境(3 密)を徹底的に避けて感染しないことが最も重要である。
・院内では院内感染対策を徹底し、事務室や医療者控室では、3 密を避けること、共用物を減らすこと、集団で食事をする際にはリスクがあることを認識することが重要である。
・医療機器等実用機器はこまめに消毒することが必要である。
・医療従事者は、健康管理に注意し、発熱や呼吸器症状を呈した場合には職場には行かず、電話等で職場管理者と相談する。
2 医療機関における COVID-19 の疑いがある人や COVID-19 患者の診療時の感染予防策 COVID-19 患者(確定例) 、疑似症患者、濃厚接触者のうち何らかの症状を有する者を診察する場合、
Ⅰ 標準予防策に加え、接触、飛沫予防策を行う
Ⅱ 診察室および入院病床は個室が望ましい
Ⅲ 診察室および入院病床は陰圧室である必要はないが、十分換気する
Ⅳ 1)上気道の検体採取を実施する場合(鼻咽頭ぬぐい液採取等)
サージカルマスク、眼の防護具(ゴーグル、フェイスシールド等)、 長袖ガウン、手袋を装着する
2)エアロゾルが発生する可能性のある手技(気道吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)
N95 マスクまたはそれと同等のマスク、眼の防護具(ゴーグル、フェイスシールド等)、長袖ガウン、手袋を装着する
Ⅴ 患者の移動はサージカルマスクを着用の上、医学的に必要な目的に限定する なお、職員(受付、案内係、警備員など)も標準予防策を遵守する。
・N95 マスクまたはそれと同等のマスクの使用に際しては事前のフィットテストと着用時のシールチェックを行い、マスク、眼の防護具(ゴーグル、フェイスシールド等) 、長袖ガウン、手袋などの個人防護具(PPE)を脱ぐ際の手順に習熟し、汚染された PPE により環境を汚染しないように注意する。手指衛生を実施しないまま、自身の眼や顔面を触れないようにする。
・手袋,帽子,長袖ガウン,覆布(ドレープ),機器や患者環境の被覆材などには,可能なかぎり使い捨て製品を使用する(不足する場合、下記項目 7 参照) 。使用後は,専用の感染性廃棄物用容器に密閉するか,あるいはプラスチック袋に二重に密閉したうえで,外袋表面を清拭消毒して患者環境(病室など)より持ち出し,焼却処理する。
※床、靴底からウイルス PCR 陽性であったとの報告があるが、以下の理由からさらなる感染対策の拡大は不要である。
・遺伝子の検出はされたが、これが院内感染の要因となったとの報告は見られない。
・通常の清掃以上の床や靴底の消毒については安全な方法がはっきりしておらず、作業を増やすことで手指衛生などの通常の感染予防策が不十分になる、周囲環境を飛沫などで汚染させるリスクがある。
3 自宅等での感染予防策
・無症状や軽症患者が自宅療養等をする際の感染予防策については、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル」を参考にする。
・「濃厚接触者」については、以下とする。
・健康観察期間中において、咳エチケットと手洗いを徹底するように保健所が指導し、常に健康状態に注意を払うように伝える。
・不要不急の外出はできる限り控え、 やむをえず移動する際にも、公共交通機関の利用は避けることをお願いする。
・外出時や同居者等と接触する際のマスク(サージカルマスク、布マスク等)着用と手指衛生などの感染予防策を指導する。
・同居者にはマスク(サージカルマスク、布マスク等)の着用および手指衛生を遵守するように伝える。
・濃厚接触者が着用しているマスク(サージカルマスク、布マスク等)について、一度着用したものは、食卓などに放置せず廃棄するようにする。
・マスク(サージカルマスク、布マスク等)を触った後は、必ず手指衛生をすることを指導する。
・濃厚接触者が発熱または呼吸器症状を呈し医療機関を受診する際には、保健所に連 絡の上、受診を勧められた医療機関を受診する。
・廃棄物処理、リネン類、衣類等の洗濯は通常通りで良い。
*積極的疫学調査時の感染予防策については、「新型コロナウイルスに対する積極的疫学調査実施要領」を参考にする
4 環境整備
・現時点で判明している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の残存期間としては、エアロゾルでは 3 時間まで、プラスチックやステンレスの表面では 72 時間まで、というものがある。銅の表面では 4 時間以降、段ボールの表面では 24 時間以降は生存が確認されなかった。
・また他のコロナウイルスに関しては、20 度程度の室温におけるプラスチック上で、SARS-CoVでは 6~9 日、MERS-CoV では 48 時間以上とする研究がある。
・クルーズ船における環境調査では、まくら、机、電話受話器、TV リモコン、椅子の取手、トイレ周辺環境から頻回に SARS-CoV-2 の遺伝子が検出された。
・インフルエンザウイルス A(H1N1)pdm09 の残存期間は数時間程度であり、SARS-CoV、MERS-CoV はインフルエンザウイルスに比較して残存期間が長い。SARS-CoV-2 についてもインフルエンザウイルスに比較して環境中に長く残存する可能性があるため、以下のような対応を推奨する。
・医療機関においては、患者周囲の高頻度接触部位などはアルコール(エタノール又はイソプロパノール)あるいは 0.05%の次亜塩素酸ナトリウムによる清拭で高頻度接触面や物品等の消毒の励行が望ましい。詳細については、「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド」等を参考にする。
・高齢者施設、不特定多数が利用する施設内、自宅等において、患者が発生した際、大がかりな消毒は不要であるが、長時間の滞在が認められた場所においては、換気をし、患者周囲の高頻度接触部位などはアルコール(エタノール又はイソプロパノール)あるいは 0.05%の次亜塩素酸ナトリウムによる清拭で高頻度接触面や物品等の消毒の励行が望ましい。感染症患者の病室清掃はフロアーワイパーやダスタークロス等を使用する。
また、新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者や新型コロナウイルス感染症の患者が使用した使用後のトイレは、次亜塩素酸ナトリウム(1,000ppm)、またはアルコール(エタノール又はプロパノール) (70%)による清拭(特にドアノブ、トイレットペーパーホルダー、水栓レバー、便座)を毎日実施することを推奨する。共有トイレのウォシュレットは、ノズルを清潔に管理できない場合は使用しないことが望ましい。急性の下痢症状などでトイレが汚れた場合には、その都度清拭する。体液、血液等が付着した箇所の消毒については、感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き(SARS や MERS の箇所)を参照すること。
エアジェット式手指乾燥機は使用しないことが望ましい。
・症状のない濃厚接触者の接触物等に対する消毒は不要である。
※60%のアルコール濃度の製品でも消毒効果があるとする報告もあることから、アルコール(エタノール又はプロパノール) (70%)が手に入らない場合には、エタノール(60%台)による清拭も許容される。
・リネン類の洗濯にあたっては、通常の 80℃・10 分間の熱水消毒後、洗浄を行う。
5 関係者が感染者であった際の対応について
「4 環境整備」に準じて消毒等対応を行い、「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」に従って、濃厚接触者の特定を行う。一律に部分的、全体的施設閉鎖等を考慮すべきではない。患者発生状況や、疫学調査の結果を踏まえ、必要な場合には保健所と相談の上、対応を決定する。
6 N95 マスクまたはそれと同等のマスクについて
下記に記載したマスクについては、N95 マスクと同等に扱う。
・DS2
・FFP2
・FFP3
・KN95
7 医療機関において、PPE が不足する場合の対応
手袋、長袖ガウン、サージカルマスク、N95 マスクまたはそれと同等のマスク、眼の防護具(ゴーグル、フェイスシールド等)は、原則として単回使用とすべきであり、きちんとした再利用や滅菌、消毒のプロセスが無いものの再利用はリスクが高い。まずは以下の調整を行い、医療機関内での職種、曝露機会ごとの適正な PPE の使用に努める(別添表参照) 。
・COVID-19 患者及び疑い患者の初診時の遠隔診療、電話診療を利用する
・ガラス、プラスチック、ビニールカーテンごしに受付や薬局業務などを行う
・待機手術や慢性疾患診療を延期や遠隔診療で行う
・患者をコホートし、COVID-19 診療に関わる医療従事者を制限する
・患者への曝露機会を減らすようワークフローを改善する
・面会を原則禁止する
上記、および社会全体での調整を行っても PPE が不足する場合、以下の 3 点が検討される。なお、例外的取扱いに関する詳細は、以下の厚生労働省事務連絡も参考のこと。
https://www.mhlw.go.jp/content/000621007.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000622132.pdf
①PPE の長期使用
・劣化、摩耗が無いことを確認して、長期利用を検討する
・N95 マスクまたはそれと同等のマスクは、形状のゆがみがなく、濡れておらず、フィットテストができれば使用可能である
②洗浄、滅菌後の再利用
・N95 マスクは蒸気過酸化水素滅菌に関する情報がある
・コホーティングされた確定症例においては、同一ガウンの使用を検討する
③PPE の他の道具での代替
・長袖ガウンが足りない場合、袖のないエプロンにアームカバーやビニールゴミ袋などで腕を保護する
・ただし、いかなる状況においても以下は推奨されない。
①違う患者に接する際の手袋の使いまわし
②適切な滅菌、消毒処理をしない状況での再利用
https://www.niid.go.jp/…/epi/corona/2019nCoV-01-200427.pdf

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