2017/03/15【食中毒】家庭菜園のジャガイモで食中毒!? 注意すべきポイントとは?

【食中毒】家庭菜園のジャガイモで食中毒!? 注意すべきポイントとは?

ジャガイモの芽に毒があるという話を聞いたことがある人は多いと思います。でも毒があるのは芽の部分だけではないことをご存知でしょうか。さらに、ジャガイモの毒素は熱に強いという特性があるので、火を通したから安心というわけでもありません。今回はジャガイモが持つ天然毒素について紹介します。

ジャガイモの天然毒素とは?

厚生労働省の発表によると、2009年から2013年の間にジャガイモの天然毒によって病院へ運ばれた事故が毎年数件ずつ起きています。

食中毒というと、腐食の進みやすい夏場や卵によるサルモネラ菌などをイメージすることが多いと思いますが、とても身近な野菜のジャガイモからも起きることがあるので、ぜひ頭に入れておきたいものです。

●ジャガイモの天然毒素

ジャガイモには芽の部分だけではなく、光に当たって皮がうすい黄緑~緑色になったジャガイモには毒素が多いので十分に注意をする必要があります。

毒素というのはソラニンやチャコニンという物質のことを言い、体重が50㎏の人の場合、50㎎のソラニンやチャコニンの摂取で、中毒症状を起こしうると厚生労働省はまとめています。150㎎以上の摂取では命の危険もあるといいます。

●50㎎ソラニンとは?

通常、100gあたりのジャガイモにはだいたい7.5㎎のソラニンやチャコニンが含まれているとされ、そのうち多くはジャガイモの皮近くに集中しています。特に芽の部分や傷ついた部分に多く含まれます。

ジャガイモが緑色になると毒素が増え、100gあたり100㎎を超えるソラニンやチャコニンが含まれていると言います。

●中毒症状とは?

ソラニンやチャコニンを過剰に摂取した場合、数時間後からだいたい24時間以内に症状が現れるとされています。

症状とは嘔吐や嘔気、下痢、腹痛、めまい、頭痛などです。摂取した量が多い場合には、けいれんや呼吸困難、意識障害に至ることもあるとされています。疑わしい場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。

ジャガイモの購入・保管・調理で気をつけること

ジャガイモは光が当たると黄緑~緑に変色し、ソラニンやチャコニンの含有量が増えるとされています。芽の部分や傷ついた部分も同様で、調理の際にはそれらの部分を念入りに取り除くことが大切です。

芽が出たジャガイモや緑色のジャガイモは購入しないようにして、光の当たらない涼しい場所に保管することも重要です。光の当たる場所に保管することで、ソラニンやチャコニンが増えることも考えられます。

ソラニンやチャコニンは熱に強く、蒸しても含有量は減らないとされていますが、水に溶ける性質から茹でることで毒素は少なくなると言われています。また170度以上の油で揚げることも有効とされていますが、緑になったジャガイモを油で揚げて食中毒を起こした事例があるので、揚げるから安心というわけでもなく、注意が必要です。

まずは、緑色のジャガイモは買わないようにし、芽や緑に変色した部分、傷ついた部分は深めに取り除くことが一番の予防と言えるでしょう。

家庭菜園のジャガイモには注意を

実は、ジャガイモの自然毒に関しての事故は、ほとんどが学校で起きています。校内の菜園で栽培したジャガイモを調理して食べたことによる事故です。

市販のジャガイモには芽が出にくくなるような処置が施されているのに対し、校内や家庭菜園ではそのような処置がされないので、ソラニンやチャコニンの含有率が高くなることが考えられます。ジャガイモを栽培する場合、次の点に気をつけましょう。

・イモの部分が土から出て光にあたることがないように、十分に土を盛るようにする。

・光に当たって皮がうすい黄緑~緑色になったジャガイモだけでなく、小さいジャガイモにもソラニンやチャコニンが多く含まれるので、収穫して口にするのは十分に大きくなったジャガイモだけにする。

・収穫したジャガイモはなるべく早くに消費するようにする

・保管は涼しくて光の当たらない場所でする

ジャガイモ以外にも、自然毒をもつ植物は多くあります。例えば、モロヘイヤの種、梅干しや梅酒に利用される青梅、未調理の白インゲン豆などは有毒で中毒症状を起こす可能性があります。また、ぎんなんの外果皮では、接触性皮膚炎を起こすこともあるので、注意しましょう。

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