2019/09/17【結核】結核、在留外国人の患者増 感染知らず来日、言葉の壁で重症化

アジア出身の技能実習生や留学生が結核の感染に気付かないまま来日し、実習先の企業などで発病するケースが増えている。在留外国人が東京に次いで多い愛知県では、健康診断で発病の兆候を指摘されても、仕事を失うことへの不安や言葉の壁などで精密検査を受けなかった人もいる。今年4月に施行された改正入管難民法で外国人労働者が今後も増えることを見据え、保健所などは対策を急いでいる。

愛知県内で2018年に結核と診断された新規の患者は1126人。医療や生活水準の向上などにより、11年の1526人から3割近く減っている。ところが、外国人に限ると増加が続き、昨年は新規患者が184人。全患者に占める割合は16・3%で、いずれも過去最多だった。

出身国別では世界保健機関(WHO)が結核の「高まん延国」としているフィリピンやベトナム、インドネシアが多く、同県豊橋市では技能実習生の集団感染が2度発生。一昨年9月にフィリピン国籍の30代の女性が発病して同居人や同僚ら25人が感染したほか、昨年1月にはインドネシア国籍の20代の男性が日本語の合宿研修中に発病し、他の受講生ら17人に広がった。

結核菌は重症化すると体外に放出されるため、感染の拡大を防ぐには早期発見と治療が重要だ。労働基準法が適用される実習生には受け入れ先に健診を受けさせる義務があるが、日本語で書かれた結果の意味が本人に伝わらず、放置されて重症化を招いた例がある。

留学生の場合、大学や専門学校は感染症法の規定で健診が義務付けられているが、日本語学校は対象外のため各学校の判断に任されており、公益財団法人・結核予防会(東京)が法的な義務化を求める提言を関係機関に出している。

これらの状況を踏まえて愛知県一宮保健所(一宮市)は昨年、啓発リーフレットを中国語やベトナム語など6カ国語で作成。実習生の監理団体に配布し、ホームページでも公開した。外国人患者の中で留学生の割合が高い名古屋市は、エックス線検査費の補助制度を日本語学校にも昨年拡大し、早期発見に努めている。

結核患者に占める外国人の割合は全国的にも上昇しており、昨年は10・7%と初めて1割を超えた。東海地方では、在留外国人が都道府県別で13番目に多い岐阜県が一昨年の時点で14・1%。14番目の三重県が11・6%だった。

◆「強制送還される」誤解も

「私は家族を代表して日本に来た。病気になって帰るくらいなら死んだ方がいい」。名古屋市の保健師の女性は、結核が発病したネパール人男子留学生の言葉が忘れられない。学生ビザで来日したが、家族への仕送りを優先しアルバイトに打ち込んでいた。「病院へ行くと強制送還させられる」。そうした誤解から治療を受けず症状が悪化したらしい。

結核は感染から発病まで数カ月から数年かかることも多く、感染していてもエックス線検査で見つからない場合がある。発病した留学生や実習生の多くは母国にいるときに感染し、日本での慣れない暮らしや多忙な仕事で体力が落ちたことが原因とみられる。

外国人の労働問題に詳しく、医療通訳の支援もしている愛知県立大多文化共生研究所(愛知県長久手市)の神田すみれ研究員は「集団生活や単純労働で体を酷使する実習生らは、感染が広がりやすい環境にある」と指摘。外国人の受け入れが進む一方で医療制度の説明や周知は十分とはいえず、「適切な医療を受ける権利を保障するのは、国や行政の責任だ」と話す。

外国人の結核患者が年に10人ほど受診している中京病院(名古屋市南区)の浅野周一呼吸器内科医長は「結核は人にうつらない状態になれば、働きながら通院治療ができる」とし、行政や受け入れ企業に正しい理解と支援を求めた。

https://www.chunichi.co.jp/…/f…/list/CK2019091702000054.html

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