2020/01/03【学校保健法】学級閉鎖が起きても慌てないために、知っておくべきこととは

毎年、冬になるとインフルエンザなど感染症の流行で幼稚園、保育所や小中高校で学級閉鎖が全国で相次ぎます。感染症の拡大を防ぐためのやむを得ない措置ですが、そうなってしまったときにどのようなことに気をつければいいのでしょうか。突然の事態に慌てないよう注意点をまとめてみました。

法律上の規定は臨時休業、感染者は出席停止に

感染症が流行している際、拡大防止のために一時的にクラス全員を休みにすることを「学級閉鎖」といいます。これが学年単位に広がると学年閉鎖、学校全体に達すると学校閉鎖です。

学校保健安全法、『第四節 感染症の予防 第二十条』には「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」と規定しています。法律上は、この措置を臨時休業としています。

また、校長や園長はインフルエンザなど感染力の強い感染症にかかった園児や児童、生徒を出席停止とすることができます。
※引用:e―Gov法令検索「学校保健安全法」

関係法令に明確な基準なく、校長や園長が最終判断

それでは、どれくらいの欠席者が出たら学級閉鎖に踏み切ればいいのでしょうか。

学校医・学校保健ハンドブックでは「欠席率が20%に達した場合、学級閉鎖などの措置を取ることが多い」と記述していますが、学校保健安全法や関連の文部科学省令、施行規則などに定めは設けられていません。

都会の大規模校から地方の小規模校まで園児や児童、生徒数が幅広く、一律に基準を設けにくいことが理由で、校長や園長が校医らと相談して決めているケースが大半です。

ただ、東京都教育委員会がクラスの20~30%の欠席を目安にしているように、地方自治体や学校で一定の基準を設定している地域もあります。閉鎖期間は2~5日程度が一般的です。

出席停止を解く基準は発症後5日、解熱後2日

インフルエンザなど感染症にかかった園児、児童、生徒は出席停止となりますが、学級閉鎖になれば元気な子を含めてクラス全員が出席停止として扱われます。欠席扱いになることはありません。

ただ、最近はインフルエンザの薬が進歩しており、感染性の強いウイルスを体外に排出している段階にもかかわらず、薬の効果で解熱してしまう例が増えてきました。

そのため、学校保健安全法施行規則ではインフルエンザの出席停止を解く基準として「発症後5日を経過し、解熱後2日を経過するまで」と規定されています。百日咳や流行性耳下腺炎など他の感染症についても出席停止を解く目安が盛り込まれています。

頭が痛い出席停止中の子どもたちの行動、判断は各家庭に

子どもが通うクラスが学級閉鎖になってしまったとき、頭が痛いのは各家庭での対応です。子どもがインフルエンザなどの感染症になってしまったら自宅で療養するしかありません。しかし、元気なままクラスが学級閉鎖になった場合、どのように過ごすのか、各家庭で判断しなければなりません。

・子どものストレスに留意し、外出を極力避けるべき

学級閉鎖中では、子どもが元気であったとしてもインフルエンザに感染して発症する前である可能性があります。さらに、外出時に感染することも考えられます。何よりも大事なのは、感染せず、流行を広げないことなので極力外出を控えた方がよいでしょう。

買い物でスーパーや商店街など人ごみに出かけるのも見合わせるべきです。ただ、元気な子供を1日中、自宅に置いておくとストレスがたまります。一緒に遊んだり、自宅学習の時間を設けたりするなど工夫してみるのも良いでしょう。

・塾や習い事に行かせたいなら、直ちに確認を

塾や習い事に行かせるべきかどうかも、頭の痛いところです。インフルエンザは感染から発症までの潜伏期間が2、3日あるといわれています。

学級閉鎖になると学校から不要な外出を避けるよう連絡がありますので基本的に休ませるのが無難だといえます。ただ、どうしても行かせたいと考えるなら塾などに確認してみるべきでしょう。

・共働き世帯はシッターの確保も選択肢に

共働き世帯で病気を発症していない子どもが小さい場合、1人で留守番させるかどうかで悩むはずです。学童保育などでは学級閉鎖したクラスの子どもは引き受けてくれません。近くに祖父母らの頼りになる身内がいれば安心できますが、友人やママ友に頼るのもちょっと気が引けるところでしょう。

両親が年休や半休などを取得して、できるだけ子どものそばにいられるようにするほか、どうしても困難な場合は有料で利用できるシッターサービスを頼むことも選択肢にあがります。

事前に方針決め、感染症対策を励行

学級閉鎖には法令上の基準がないため、不意に発生することが多いのが特徴です。インフルエンザの流行時期になれば、どれくらい欠席している子がいるのかを常に把握し、万一に備えておくことが大切です。

共働き世帯の場合は学級閉鎖時の対応について、事前にある程度方針を決めておくと、慌てることにならないでしょう。普段から手洗い、うがいの励行など感染症対策をしておくことも忘れてはなりません。

https://www.kyoiku-press.com/post-211110/

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