【鳥インフルエンザ】高病原性鳥インフル終息 家禽感染ゼロ 生かせた教訓 予防・防疫の強化奏功

【鳥インフルエンザ】高病原性鳥インフル終息 家禽感染ゼロ 生かせた教訓 予防・防疫の強化奏功

昨年末から約半年間、県内で発生した高病原性鳥インフルエンザの流行が終息した。野鳥への感染で過去最多を記録し、感染拡大の懸念から養鶏農家らを不安にさせたが、家禽(かきん)への感染は皆無だった。農林水産省は28日、北海道や宮崎県など9道県の農場で発生した同インフル(昨年11月〜今年3月)についても、ウイルスが国内からなくなったことを意味する「清浄化」を宣言した。県内は、養鶏場を襲った2005年の鳥インフル発生を教訓に、県や生産者らが予防対策や防疫の強化を図り、家禽への感染を防いだ。 (報道部・磯前有花、朝倉洋)

■意識

「世界的な流行もあり、野鳥での発生は自然な流れ。ただ、ごく近くの発生だったため、緊張感があった」。今季初めて鳥インフルエンザに感染した野鳥が発見された水戸市の大塚池から約4・5キロ離れた、同市小吹町の小林養鶏場主、小林清一さん(43)は発生当初を振り返る。
昨秋から今春にかけて、全国的に高病原性鳥インフルエンザが流行。県内でも昨年12月から、大塚池や千波湖などの野鳥から同ウイルスの検出が相次いだ。5月に環境省が終息宣言するまでの約半年間に水戸、ひたちなか、鹿嶋、潮来の4市で計62件が確認された。
鳥インフルエンザを巡っては、05年に常総市内で養鶏場の鶏約568万羽を殺処分する甚大な被害に見舞われた。今回の発生を受け、養鶏業者は感染拡大に不安を募らせたが、野鳥で過去最多発生を記録する一方、家禽への感染はなかった。

小林養鶏場では外部からのウイルス侵入を防ぐため、侵入道への石灰散布量を増やしたほか、人の出入りを最小限にとどめるなど、「基本的な対策を徹底させた」(小林さん)。
茨城町若宮の田中鶏園でも、鶏舎ごとに長靴を履き替え、立ち入り車両のタイヤを消毒するなど対策を強化した。経営主の田中康弘さん(79)は「05年のことがあり、感染の恐ろしさは身に染みている。発生がなかったのは、皆で対策した成果だろう」と話した。
小林さんも「当時を知るからこそ、県内の養鶏農家は意識を持って対策に取り組んだ」と力を込める。

■積み重ね

県畜産課によると、県は04年、国内で高病原性鳥インフルエンザが発生したことを受けて、対策推進のための組織体制や作業現場での対応をまとめた県独自のマニュアルを作成した。養鶏農家に対し、立ち入り調査のほか、野鳥の侵入防止や消毒を徹底、死亡羽数の報告を義務付けた。定期的な養鶏場のモニタリング検査にも取り組んだ。

マニュアルを改定し、検査方法の見直しや防疫資材の備蓄を増やすなど実際に組織体制が整えられたのは05年に常総市で発生した後だった。同課は「現在の体制は(過去の)積み重ねでできた」という。

今回の発生で県は、県内全ての養鶏農家への情報提供や聞き取り調査、消毒用の消石灰の配布などに早急に対応した。感染野鳥のウイルス検査や解剖も速やかに行われた。同課は、家禽への感染を防いだ理由として、「05年を教訓に、養鶏農家や県などが各種対策に取り組んできたことが大きい」と強調する。

■監視

一方、県は、野鳥への監視の目も光らせた。県環境政策課は、同ウイルスが確認された昨年12月以降、休日・夜間を含めた24時間態勢で対応に当たったほか、ふん便調査の回数を増やすなど警戒を強めた。「早期発見、早期通報が最大の予防線」(同課)とし、死亡野鳥の放置による被害の拡散を防ぐため、関係市町村と連携して迅速な回収や消毒、検査を心掛けた。
今回の大流行で、同ウイルスの疑いがある死亡野鳥の検査数は278羽に上った。同課は「初めての事案で想定外のことも多かった」と、大量発生時の検査体制の改善などマニュアルの見直しも視野に、さらなる体制構築を図る考え。

県畜産課は「海外では現在も発生が確認されており、感染リスクがなくなったわけではない」と警戒を続ける。さらに、来季以降を見据え「県職員の連絡体制や物資の運搬など反省点を検証し、一層の体制強化に努めたい」とした。

★鳥インフルエンザ

A型インフルエンザウイルスによる鳥類の感染症。鳥に対する病原性の強さから高病原性と低病原性に分類される。国内で人への感染例はない。2016年度は高病原性ウイルス(H5N6型)が全国的に大流行し、本県を含む22都道府県で過去最多218件が発生。そのうち本県では最も多い62件が確認され、計14市町村で環境省の野鳥監視重点区域に指定された。同省は5月12日、今季の流行がほぼ終息したとして、全国の監視体制を通常のレベルに戻した。

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