【新型コロナウイルス】新型肺炎のウイルスはコウモリ→ヘビ→人間? コウモリはなぜ複数のパンデミックの原因になってきたのか

・新型コロナウイルスの感染は拡大し続けている。
・コロナウイルスは人獣共通ウイルスのため、動物から人間に感染する。
・2000年代初め、774人が死亡したSARSのコロナウイルスは、コウモリからシベット、シベットから人間へと感染した。
・武漢コロナウイルスも、もともとはコウモリからきていると考えられていて、コウモリからヘビへ、ヘビから人間へと感染した可能性がある。

中国で感染が拡大している新型肺炎と、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)には2つの共通点がある。どちらもコロナウイルスが原因で、生鮮市場でウイルスが動物から人間へと感染した。

コロナウイルスは人獣共通ウイルスだ。つまり、動物から人間へと感染が広がる。生鮮市場では生きているまたは死んでいる動物 —— 犬、鶏、豚、ヘビ、シベットなど —— と人間の距離が非常に近く、ウイルスの種を超えた感染が起きやすくなっている可能性がある。

Wildlife Conservation Societyは1月23日に出した声明文の中で、「ほとんど規制されていない、違法な野生生物の取り引きもある生きた動物の市場が、ウイルスに野生生物の宿主から人間へとうつる滅多にない機会を与えている」と指摘している。

SARSの場合、もともとの感染源はコウモリだった。コウモリのウイルスがそのフンや唾液を通じて他の動物に感染し、気付かないうちにその動物がウイルスを人間に運んだ。

オランダ、ロッテルダムにあるエラスムス医療センターのウイルス学者Bart Haagmans氏は、「コウモリと鳥類はパンデミックの可能性があるウイルスを保因する種と見なされている」とBusiness Insiderに語っている。

過去45年間で、少なくともSARSに加えて3つのパンデミックがコウモリに由来している。コウモリは1976年以降、複数回流行して約1万3500人の死亡者を出したエボラ出血熱の感染源であり、28カ国で見つかったMERS(中東呼吸器症候群)や、死亡率70%以上とも言われるニパウイルス感染症の感染源でもある。

武漢コロナウイルスはコウモリからヘビ、ヘビから人間に?

全てのコロナウイルスが非常に危険というわけではない —— 風邪といったヒトにまん延しているコロナウイルスはあまり危険視されていない。だが、動物に由来するコロナウイルスにはパンデミックのリスクがある。

「これらのウイルスはこれまで人間に広まっていなかったため、こうしたウイルスに対する特異免疫が人間にはない」とHaagmans氏は指摘する。

武漢コロナウイルスの感染は今も拡大し続けている。専門家は感染源となった動物をまだ特定していないが、いくつか候補を挙げている。中国の科学者たちが武漢コロナウイルスの遺伝子コードをその他のコロナウイルスと比較したところ、中国のコウモリのコロナウイルスと最も近いことが判明したという。

ロッキーマウンテンラボラトリーズのウイルス学者ビンセント・ミュンスター(Vincent Munster)氏は、「コウモリのウイルスの可能性がある」とBusiness Insiderに語っている。

医学雑誌『Journal of Medical Virology』を編集している科学者グループによると、アマガサヘビやタイワンコブラがウイルスを運んだ可能性があるという。

遺伝子のさらなる解析を進めたところ、武漢コロナウイルスの遺伝を構成する要素がヘビによく似ていることが分かったのだ。そのため、研究者らはコウモリのウイルスがヘビに感染したと考えている。そして、このヘビが武漢の華南海産物市場で売られていたことで、ウイルスが人間にうつった。

だが、研究者らによると、ウイルスがどこから来たかを正確に突き止めるには、市場で売られていた動物や、この地域の野生のヘビとコウモリのDNAサンプルが必要だという。

なぜコウモリがこのような脅威を及ぼすのか?

2017年のある研究によると、コウモリは他の哺乳類に比べて、人獣共通ウイルスを持っている割合が非常に高いという。専門家は、コウモリの飛行範囲は広く、いろいろなところから病気を運んでいる可能性があると考えている。これがコウモリを理想的な宿主にしている。

コウモリはそのフンを介してウイルスを運ぶ。コウモリのフンが果物に落ち、その果物を他の動物が食べると、その動物がウイルスを運んでいく。

「世界保健機関(WHO)がまとめた、優先すべき感染症のブループリント・リストに載っているかなりの数のウイルスがコウモリと直接もしくは間接的にリンクしていることが分かっている」とミュンスター氏は言う(SARSやMERSのウイルスもこのリストに含まれている)。

2019年3月には、コウモリが中国で流行する新型コロナウイルスの感染源になるかもしれないと予測する研究もあった。
「未来のSARSもしくはMERSのようなコロナウイルスの流行は、コウモリが感染源となる可能性が非常に高く、中国で発生する確率が高まっている」と研究者らは書いている。

これは、コロナウイルスの多くが中国で見つかっているためだ。加えて、この論文の筆者は、こうしたコロナウイルスの宿主であるコウモリの大半が「中国では人間の近くに生息していて、ウイルスを人間や家畜に伝染させる可能性がある」と述べている。

例えば、SARSウイルスの感染源となったコウモリが生息していた洞窟は、最も近い村から1キロメートルほどの距離にあった。

同様に、2017年のある研究は、「(ウイルスが)人にうつり、SARSに似た感染症が発生するリスクがある」と警鐘を鳴らしていた。論文の筆者は、少なくとも300種類のコロナウイルスが今もコウモリの間に広まっていると指摘している。

SARS、MERS、エボラはどのようなしてコウモリから人間へと感染したのか?

SARSを追跡した研究者は、その感染源として中国の雲南省に生息するキクガシラコウモリにたどり着いた。コウモリのウイルスは、広東省の生鮮市場にいたパームシベットの1種であるハクビシンから人間へとうつった。

2002年から2003年にかけてSARSは29カ国に広がり、8000人以上が感染、774人が死亡した。患者には、発熱と頭痛に加え、呼吸不全の原因になり得る深刻な肺炎といった症状が見られた。

同様に、MERSウイルスも中東でコウモリからヒトコブラクダへうつった。 このコロナウイルスは、2012年に人間への感染が確認される前、数十年にわたってヒトコブラクダの間で広まっていた。MERSはこれまで28カ国に広まり、858人が死亡した。症状としては、発熱、咳、息切れなどがある。

東南アジアでは、オオコウモリを自然宿主とするニパウイルスが報告されている。ニパウイルス感染症は1998年にマレーシアで、2001年にインドで起きた。ウイルスはコウモリから家畜の豚へ、その豚から人間へとうつった。症状としては、頭痛や嘔吐があり、多くの患者が昏睡状態に陥ったり、死亡した。

アフリカのオオコウモリも1976年以降、エボラ出血熱の流行に大きな役割を果たしてきた。だが、エボラの史上最悪の流行時には、ウイルスはユビナガコウモリからきていた。2013年から2016年の間に1万1000人以上がエボラ出血熱で死亡している。

人獣共通ウイルスが人間にうつるのをどう予防するか?

生鮮市場では、買い物客と露店や生きているまたは死んでいる動物との距離が非常に近く、これがこうした市場を人獣共通感染症の温床にしている。

シカゴ大学医療センターの感染病専門医エミリー・ラングドン(Emily Langdon)氏によると、「地域の文化的背景から、人々は自分の購入しようとしている動物が目の前で食肉処理されるところを見たいと考えていて、そうすることで自分がお金を払ったものが受け取れると確認できる」という。「つまり、買い物客の前にはたくさんの皮をはいだ、死んだ動物が並んでいて、その結果、あらゆるものが浮遊している」のだ。
武漢では1月22日、当局がこうした生鮮市場での生きた動物の販売を禁止した。新型コロナウイルスの流行が始まったと考えられている海鮮市場も封鎖されている。

専門家は、ウイルスの感染拡大を防ぐために、こうした類の介入を支持している。

Wildlife Conservation Societyのヘルス・プログラムのエグゼクティブ・ダイレクター、クリスチャン・ワルツァー(Christian Walzer)氏は「人獣共通感染症が世界の公衆衛生に与える脅威を政府は認識しなければならない」とその声明文の中で述べている。「今こそ都市部を中心に、野生生物の取り引きを行っている生きた動物の市場を閉じ、野生生物の密売の取り締まりを強化し、野生生物を食べるという危険な行動を変えるべく取り組む時だ」と、ワルツァー氏は言う。

だが、ジョンズ・ホプキンズ大学の上級研究員エリック・トナー(Eric Toner)氏によると、 生鮮市場がなくても、人獣共通感染症の流行は増えるだろうという。

「新たなパンデミックの原因になる可能性が最も高いウイルスはコロナウイルスだろうと、わたしは以前から考えていた」と、トナー氏はBusiness Insiderに語った。「グローバル化や自然環境の破壊のせいで、わたしたちは伝染病の時代にいる」という。

ただ、武漢コロナウイルスの流行はまだパンデミックとは見なされていない。中国は感染の拡大を食い止めるため、武漢とその周辺都市を閉鎖したが、WHOは23日、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の宣言を見送った。

https://www.businessinsider.jp/post-206521

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